研究課題/領域番号 |
26380401
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
塩濱 敬之 東京理科大学, 工学部, 講師 (40361844)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ファクターモデル / 確率金利モデル / 金利の期間構造 / Vasicekモデル / 漸近展開 / 日本国債イールド |
研究実績の概要 |
本研究課題の研究目的は、非正規従属性を考慮した離散時間確率金利モデルの提案とその漸近展開による金利派生商品の価格付けを行うことである。平成26年度は、バシチェックモデルの離散観測に基づいた、誤差項が非正規・従属過程に従うマルチ・ファクターモデルを提案し、その債券価格評価を行った。提案したモデルのパラメータ推定は、正規性を仮定した状態空間表現で債券イールドの確率モデル定式化し、カルマン・フィルタによる擬似最尤推定によって行う。日本国債ゼロクーポンイールドに対して提案したモデルのカリブレーションを試みたところ、従来のバシチェックモデルの3-ファクターモデルによる誤差平方和を提案モデルは改善することができた。これは、債券イールドの変動に非正規分布を加味したほうが、現実のイールドカーブを上手く推定することが出来ることを意味し、提案モデルの応用可能性を示唆するものである。 この研究結果は、平成26年6月にポルトガル・リスボン行われた、3rd Conference on Stochastic Modeling Techniques and Data Analysisと同年8月、アメリカ・ボストンにて行われたJoint Statistical Meeting 2014にて報告し, モデル・推定方法、漸近理論について参加者と議論を行った。また、この研究成果は国際会議のプロシーディングスにまとめている。このモデルは、ファクター間の独立性を仮定した限定的なモデルであったが、従属性を持つファクターモデルについても拡張可能であるため、この研究課題は平成27年度以降に解明したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の研究目的は、非正規従属性を考慮した離散時間確率金利モデルの提案とその漸近展開による金利派生商品の価格付けを行うことである。研究目標の一つに、マルチファクターモデルによる確率金利モデルの離散化と非正規・従属な誤差項を持つモデルの提案と実データ解析を上げていたが、その目標を到達することができた。
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今後の研究の推進方策 |
金利変動リスクの計測及び、金利派生商品の評価はこれまでブラウン運動を通じた確率微分方程式によるモデルが用いられてきたが、実際に観測する金融時系列データは、離散時間感覚でサンプリングされていること、またその変動は、従属性・非正規生が顕著であるため、既存モデルを離散化し、かつ、非正規性・従属性を考慮したモデルの作成とオプション評価法が求められている。そこで、無最低条件を組み込んだHJMモデルの特殊例として金融実務で広く用いられているハル・ホワイトモデルの離散化及び、非正規。従属性を取り入れたモデルを提案し、そのモデルに基づく債券価格や金利派生商品の価格付けを行うことを研究目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していなかった、初年度の国際会議報告が可能となったため、当初予算より旅費が大幅に増えた。そのため、その他、謝金やその他経費に使用することができなくなったため、計画通りの予算執行ができなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、当該助成金と本年度経費を用いて、国際会議発表旅費に使用する予定である。
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