研究実績の概要 |
本研究課題の研究目的は, 非正規従属性を考慮した離散時間確率金利モデルの提案とその漸近展開による金利派生商品の価格付けを行うことである. 2017年度の研究実績の概要は次の3点にまとめられる. (1) 信用リスク計測における構造型アプローチの代表的なモデルである1-ファクターMertonモデルの非正規従属性をもつ離散時間モデルに対して, ベイズ流のパラメータ推定方法とその評価を行った. この研究は, 2017年8月にアメリカ・ボルチモアで開催されたJoint Statistical Meeting 2017にて報告した. また, 得られた研究成果は論文としてまとめ国際誌に投稿するべく準備中である. (2) 債券ポートフォリオや, 金利派生商品のポートフォリオのリスク管理や運用における課題に着目し, 投資対象に共通した価格変動要因であるファクター間のリスク寄与度を均等化するファクターリスクパリティの手法を用いて, 日本株式のポートフォリオを構築した. 提案する投資戦略がファクターリスクプレミアムを獲得する上で一定の有効性をもつ手法であることを示した. この研究は, 証券アナリストジャーナル2018年5月号に掲載予定である. (3) 非正規分布な収益率分布をもつ株価変動に対してモンテカルロ法を利用した, 市場リスク評価法やヨーロピアンオプション価格解の近似法を、「理工系の基礎 情報工学」の中の「モンテカルロ法とデータサイエンス」にてまとめた.
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