研究実績の概要 |
外生的にファンダメンタルバリュを設定した資産の市場実験を行う。市場取引は、Smith (1962, JPE) 以来の伝統的なダブルオークションによる。瓶に詰まった玉の数を実験資産の価値とすることで、瓶の中身の数を当てる jar-guessing game とSmith et al. (1988, Econometrica) 流の資産市場実験を組み合わせて研究した。
実験パラメータであるファンダメンタルバリュと市場価格の乖離から、バブル等のミスプライシングが観察できる。被験者に jar-guessing game をさせることにより、市場参加者の主観的予測が観察できる。市場実験と jar-guessing game を交互に行うことで、主観的予測と市場価格の相互作用が観察できる。そして、実験市場での取引仕法を実験処理として調整することで、適正な価格や予測の形成に重要な役割を果たすファクターが特定できる。
2019年度は、2018年度までの実験結果からの含意を整理し、論文としてまとめることに尽力した。単純な設定での実験が最も研究のベースラインとしてふさわしいとの判断から、ファンダメンタルバリュは固定させ、市場取引の精算はファンダメンタルバリュを精算価格とする最終決済に限定した実験からのデータに基づき論文を書き上げた。そして、Workshop on Economic Science with Heterogeneous Interacting Agents にて報告を行った。さらに論文の改定を行い、"Interaction Between Price and Expectation in Jar-Guessing Experimental Markets" として Journal of Economic Interaction and Coordination に投稿した。
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