研究課題/領域番号 |
26380415
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
阿萬 弘行 関西学院大学, 商学部, 教授 (70346906)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 株式市場 / ニュース |
研究実績の概要 |
本年度は、企業情報への市場流動性(ビッドアスクスプレッド、デプス)の反応を分析する論文を進展させ、新聞報道、企業ディスクロージャー情報への投資家反応を、企業情報開示の信頼性の観点を加味して分析を行った。結果としては、通常のディスクロージャー情報流入は、異なるタイプの投資家間の情報不確実性を高める効果、メディア報道は情報認知度を高める効果と整合的であった。Asian Pacific Conference on Accounting Issues 2016(開催地ゴールドコースト)においてその成果を報告した。 また、とくに個人投資家への影響が強いと想定される、テレビの企業広告が、株式取引に与える効果に関する研究を行った。その結果から、通常の広告頻度よりも異常に高い頻度の広告出稿は、取引高を増加させる効果をもつことが示された。これは、広告による認知度向上が与える投資家の認知能力(attention)へのプラスの効果を示しており興味深い。成果は、西オーストラリア大学セミナー、Australasian Banking & Finance Conferene 2016、国内の金融システム研究会において報告した。 西オーストラリア大学での滞在期間を通じて、企業ディスクロージャー情報と株価反応のタイムリー性に関する国際共同研究も進捗させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多種多様な情報源を使って、投資家タイプごとの投資行動の反応を分析するという研究目的の観点から、現在までに、新聞メディア、ディスクロージャー情報、および、企業広告などの各種データソースを活用した研究を着実に進めている。また、研究成果の公表という点では、国内セミナーでの研究発表、海外大学でのセミナー報告、海外学会での研究発表(シドニー、ゴールドコースト)など積極的に情報発信することができた。また、オーストラリアでの在外研究の機会を活用して国際共同研究も進捗させた。これらのことからおおむね着実な研究の進捗状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、個人投資家の行動を明らかにするための企業広告、テレビ報道の影響に関する研究を完成させ、海外専門誌への投稿を図っていく。また、投資信託データを用いた研究も進捗させ、成果の発表を含めて、完成度を高めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
利用するデータベースに関して、現在利用可能なものを効率的に有効活用した結果として、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、追加的なデータベースの購入による研究の高度化に充当していく。
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