本研究は、20世紀初頭のスウェーデンにおける、社会事業中央連盟やスウェーデン救貧連盟などによる福祉供給主体の組織化の実態を解明し、その歴史的意義を検討することを課題とした。その結果判明したことは、まず、それらによる組織化は、社会問題とその原因を科学的・客観的に分析し、合理的な解決を目指そうとしていたことである。また、組織化を通じて目指したのは、救済される権利を確立して公的救貧を基底部分とし、社会保険制度などをその上に立つ制度として位置づけた多層的なセイフティ・ネットの構築であった。それゆえ、この組織化は、スウェーデンにおける近代的な社会保障体制の成立の重要な画期として捉えられると思われる。
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