研究課題/領域番号 |
26380421
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
森 宜人 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (10401671)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ドイツ / 社会都市 / 社会国家 / 失業者救済 / ハンブルク / ワイマール期 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ワイマール期ドイツの失業救済政策の展開過程とその成果・限界とを都市レベルでの分析によって明らかにし、「社会国家」と「社会都市」の重層的関係性を解明することにある。この研究を通じて、「社会国家」・「社会都市」関係の歴史的動態を都市レベルでの実証分析に即して検討することにより、「福祉社会」形成の多層的プロセスを明らかにするとともに、「長い20世紀」の歴史を把握する上での都市史研究の意義を問いかけることができよう。 2年目にあたる平成27年度の前半は、平成26年度に引き続いてドイツに赴き、ハンブルク国立図書館、ハンブルク州立公文書館、ハンブルク現代史研究所において、今後の研究の遂行に必要な未公刊一次史料および各種刊行史料の調査を行った。この史料調査により、ワイマール期中期におけるライヒ失業扶助令の運用実態と、失業扶助および自治体の公的扶助の関係をめぐる史料を収集することができた。 平成27年度の後半は、これら史料の整理・分析を進めるとともに、これまでの研究の中間的な取りまとめを行い、その成果を、平成27年10月に福島大学で開催された政治経済学・経済史学会2015年度秋季学術大会パネル報告において、「失業をめぐる都市ガバナンス―第1次大戦からワイマール期中葉のハンブルク―」として発表し、またその修正版を、平成28年3月に一橋大学で開かれた「歴史と人間研究会」第243回例会においても「『社会国家』の形成と都市ガバナンス―ワイマール体制成立前後のハンブルクにおける失業扶助を事例に―」として報告した。以上の報告原稿は、報告のたびに指摘を受けた多様なコメントをふまえつつ論文として取りまとめ、『一橋経済学』に投稿した。本稿は、平成28年7月に刊行される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度および平成28年度に行ったドイツでの史料調査と、一橋大学の附属図書館および経済研究所資料室に所蔵されている刊行史料の整理・分析を進めることにより、ワイマール期中葉にいたるまでの分析に必要な定性的ならびに定量的データを得ることができた。そして、2回の口頭発表の機会にそくして本研究の中間成果を取りまとめ、論文として投稿することが出来た。 以上より、まだ本研究はまだ道半ばの状況にあるとはいえ、当初設定した研究視角にそって着実に研究を進展させているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成28年度の前半は、引き続きこれまでの史料調査で収集してきた史料の整理・分析を行う。その成果をふまえ、平成28年8月に再びドイツに赴き、ハンブルクを中心に史料調査を行い、今後必要となる史料の補完を通じて、さらに研究の進展を図る。そして、平成28年度の後半は、研究の最終的な取りまとめを進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の史料調査では、持参したUSBに史料を直接コピーすることができ、複写費がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
主にドイツでの史料調査の旅費に充当する予定である。
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