本研究では、日本の金融エリートが銀行業の近代化に果たした歴史的役割を、主に銀行監督トップに従事した大蔵省及び日本銀行の金融エリートに着目して、国際比較史の視点も重視しつつ、検討した。研究の結果、①大蔵省と日本銀行ではキャリアパス、サラリー、最高ポスト、天下り先といった諸点で明確に異なっていること、②従来メディア等で批判されてきた天下りによる問題はほとんどみられず、逆にリスクマネジメントや経営実績の改善に貢献したとみられること、③国際比較の観点から、金融エリートに関わる日本の雇用慣行には問題があること、などの諸特徴が史資料に基づき明らかとなった。
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