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2014 年度 実施状況報告書

戦後フランスにおける産業構造の転換とヨーロッパ統合の進展

研究課題

研究課題/領域番号 26380423
研究機関横浜国立大学

研究代表者

石山 幸彦  横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (90251735)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードエネルギー産業 / 石炭産業 / ヨーロッパ統合 / 国有化 / ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体
研究実績の概要

平成26年度の研究では、フランス解放からヨーロッパ石炭鉄鋼共同体の結成にいたるまでのフランス石炭産業の国有化による再建と、国外からの石炭調達の実態を解明した。戦後のフランス経済再建の鍵は、主要なエネルギー源であり、当時不足していた石炭をいかに調達するかにあった。そのため、フランス政府は1930年代の不況と戦争によって荒廃したフランスの諸炭鉱を国有化して、政府主導で石炭産業を再建する方針が採用された。本研究では、国有化の方法や政府と国有炭鉱の関係、国有化後の生産量の拡大や国有炭鉱会社の経営状況を詳細に解明することができた。
だが、再建された国内生産では、フランスの石炭需要を満たすことはできず、国外からの輸入に依存しなければならなかった。フランス政府はドイツのルール地方の良質な石炭の輸入拡大を望んでいた。だが、ルール地方を占領していたイギリスやアメリカ政府は、ドイツの経済復興を優先し、ルール炭をドイツ国内産業向けに供給する方針を取った。本研究では、そうしたアメリカ、イギリスの政策に対して、フランス政府は国際組織を通じてルール炭のフランスへの供給拡大を主張したが、それが、アメリカ、イギリスによって退けられる交渉過程を明らかにした。さらに、そうした過程を経て、フランス政府はシューマン・プランを立案するにいたり、ルール地方の石炭や鉄鋼を共同体参加国のこれら産業とともに国際管理下におくことを提案し、ヨーロッパ石炭鋼共同体の結成を実現したことも解明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度の計画では、フランス石炭産業の再建について、終戦後から第1次設備近代化計画(1947-1952年)と第2次設備近代化計画(1953-1957年)の期間について研究する予定であった。だが、実際は第2時近代化設備計画の時期まで、分析を進めることはできなかった。
だが、戦後のフランスの石炭調達に関する研究は実施できた。そのため、平成27年度に予定していたヨーロッパ石炭鉄鋼共同体の結成(1952年)にいたるフランス政府内部や国有炭鉱会社を統括するフランス石炭公社の内部事情については、詳細に明らかにすることができた。
したがって、平成26年度の計画の一部は達成できなかったが、平成27年度に予定していた部分は、先んじて実施することができた。そのため、おおむね順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

上記の「現在までの達成度」の理由で触れたように、平成26年度は予定を変更して、当初平成27年度に計画していた研究を先んじて実施した。すなわち、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体の結成するシューマン・プラン立案にいたるフランス政府の内部事情は解明している。そこで、平成27年度は平成26年度に実施できなかった1953年以降のフランス石炭産業の発展について、フランス政府の政策、すなわち近代化設備計画を中心に分析する。
さらに、平成26年度の研究の結果、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体による政策の重要性も推測できるようになったので、1953年の石炭共同市場開設とその後の共同体による政策実施についても、当初の計画に加えて検討する。そのため、対象期間は第2次設備近代化計画の期間に短縮することとする。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度は研究実施のための図書資料の購入に全額を充てた。結果として少額の補助金が残ったため、次年度の使用に使用することとした。

次年度使用額の使用計画

平成27年度も図書資料の購入とともに、フランスでの史料調査のための旅費に補助金を使用する。その中で次年度使用額も支出する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 戦後フランスの石炭調達とシューマン・プラン2015

    • 著者名/発表者名
      石山幸彦
    • 学会等名
      政治経済学・経済史学会 ヨーロッパ統合史フォーラム
    • 発表場所
      東京経済大学
    • 年月日
      2015-01-31

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公開日: 2016-05-27  

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