本研究では、戦後新興産業集積である岐阜アパレル(既製服)産地について、その歴史的経緯(「経路依存」)に着眼し、産地形成と岐阜地域の戦後復興との関連を分析した。この結果、第二次大戦後の引揚者らによる故国日本への「再定着」のための行動が重要であること、場合によっては住宅開発=ディベロパー活動が事業として選択される可能性もあったこと、アパレルビジネスへの取り組みは同時に、アパレルという新商品の地方における販路開拓行動と同義であったことを明らかにした。 また、この解明に際して、オーラルヒストリー手法による当事者の「記憶の記録化」の有効性を確認した。
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