研究課題/領域番号 |
26380426
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡辺 純子 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90261271)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 産業調整 / 雇用調整 / 産業調整政策 / 経済産業省 / 通商産業省 / 構造調整 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後日本の産業調整過程について、とくに雇用調整に焦点を当てながら、経済史的に分析するものである。 本年度は、特に経済産業省、経済団体連合会、旧日本経営者団体連盟などの施策に関する資料を収集し、戦後の産業調整をめぐる政策決定過程の分析を行った。1950~60年代から産業調整の始まった繊維、石炭、1970年代のオイルショックの時期以降、産業調整が問題となった基礎素材産業(石油化学、アルミ精錬等)、1980年代半ばのプラザ合意後の円高で産業調整関連法を利用して大型合併などの再編を行った一部の基礎素材産業(セメント産業、液化酸素)を対象に、業界、経団連、通産省(省庁再編後は経産省)、同省の審議会、労働省(省庁再編後は厚生労働省)、労働者・労働組合、地域などの政策アクターの動向に着目し、経済情勢・経済環境の変化に伴い、産業調整政策が変化していくプロセスを明らかにした。 最終的には、1990年代半ば以降、産業調整政策と言われるものは「終焉」した。従来の産業調整政策のうち、産業政策的要素は「産業再生政策」として以後も継承されるものの、地域対策や雇用対策などの社会政策的要素は後景に退いた感がある。同時に、この時期には労働市場の規制緩和や企業のリストラ、雇用調整が進み、一部の階層は失業や非正規雇用などのかたちで過度に「市場化」されている。こうした状況に至った政策決定過程やその効果・影響についても考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経済産業省、経団連、旧日経連などの協力により、当初予定していた以上に資料やコメントなどを得ることができた。 また、1950年代から2000年代までを一貫した視点で通時的に分析することを試みた結果、産業調整政策の政策決定プロセスや政策アクターが変化していく様子が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、経済産業省、経団連、旧日経連などで、資料調査やヒアリングを進め、とくにクリティカルな政策の屈折点となる1990年代以降を重点的に研究する。 また、労働省(厚生労働省)関連の資料収集や統計分析にも努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
家族や大学の仕事などの事情により、海外出張等の長期の出張が困難となったため、出張計画が当初の予定から変更になった。 統計等のデータ入力は、web上からも比較的簡単にできるようになってきたので、アルバイター(謝金)に依頼する部分が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
国内での資料調査、ヒアリングを重点的に行う(国内旅費)。
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