研究課題/領域番号 |
26380426
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡辺 純子 京都大学, 経済学研究科, 教授 (90261271)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 産業調整 / 雇用調整 / 産業調整政策 / 貿易調整援助政策 / 電機産業 / 石炭鉱業 / TAA / 産業再生政策 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後日本の産業調整過程について、雇用調整に焦点を当てながら、経済史的に分析することを目的としている。本年度は、以下の3つのテーマを中心に研究を行った。 第1は、日本で最も早く産業調整政策の対象となった産業である石炭鉱業に対する政策の分析である。通産省の官僚、鉱業経営者、労働組合関係者へのヒアリング資料その他の諸資料の解読をもとに、通産省の政策形成過程と政策の意義・特質、効果について検討した。政策評価に際しては、他の諸産業との比較、日本の産業調整政策全般に対する影響も視野に入れて検討した。 第2は、日本の産業調整政策との比較を念頭に置いたアメリカの貿易調整援助政策に関する研究である。アメリカでは、国際貿易の影響を受けて衰退化した産業の救済策、他産業への移動の調整策として「貿易調整援助政策」が1960年代から実施されてきたが、その政策理念・目的、効果については、アメリカ国内でも意見が分かれており、明確な政策的方針が確立されているとはいえない。トランプ大統領の登場に関連してクローズアップされた「ラスト・ベルト」の問題であり、今なお解決されてはいない。以上、第1と第2の点は、衰退産業における雇用問題に焦点を当てたものである。 第3は、視点を少し変えたものになるが、日本の電機産業の再編・リストラと海外事業の展開(海外進出)に関する研究である。東洋経済新報社の『海外企業進出総覧』のパネル・データを利用し、主に中国に焦点を当てて、企業のグローバル化の動きや実態を分析した。また、日本の電機産業の再編・リストラについては、経産省の産業再生政策との関連でも考察している。この第3のテーマについては、平成29年度も継続して研究を行い、論文にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
興味深い資料も得られ、研究は順調に進展しているが、データ・ベースの分析には膨大な時間がかかる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は旧日経連の分析を中心に、日本の雇用調整政策について諸外国との比較をまじえなら検討を行い、研究をまとめる。 単なる政策分析だけではなく、企業・産業の動向、とりわけ貿易・投資に見られるグローバル化の進展が産業調整の問題にどのように関わっているのかを明らかにすることを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
・当初、海外出張(資料収集及び学会発表)を予定していたが、家庭や大学の仕事の事情により、行けなかった。 ・平成28年度に海外のコンファレンスでの報告のために1度出張をしたが、招聘のために旅費・宿泊費の大半が先方より支給された。
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次年度使用額の使用計画 |
・本年度、資料収集、ヒアリング、国内外での学会発表に使用する計画である。
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