本研究では、戦後日本の雇用調整について分析した。繊維・石炭・化学・電機などの諸産業は、それぞれ時期は異なるが構造不況に陥った。それらの業界では産業再編や事業転換が必要となったが、そうした産業調整の過程で、労働者の雇用調整はどのように行われていたのかについて、政策と企業の双方の視点から検討した。 この結果、1990年代以降、政策的支援は市場メカニズムを基本とする原則に移行し、雇用調整についても、労働市場改革・雇用制度改革を通じて促進しようとする歴史的な変化が確認でき、従来、日本の特徴であった組織的・漸進的な調整のあり方も転換期に直面していることが明らかになった。
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