研究課題/領域番号 |
26380427
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 千映 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10388415)
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研究分担者 |
山本 陽子 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00326159)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経済史 / 産業革命 / 生活時間 / ジェンダー / 国際研究者交流 / 国際情報交換 / イギリス |
研究実績の概要 |
本年度は、1937年から38年にかけてイギリスで行われた生活時間調査(Mass Observation Day Survey)に焦点を絞って、データ収集及びその整理を行った。 9月に渡英し、Day Surveyが所蔵されているブライトンのThe Keep(East Sussex Record Office所蔵史料、サセックス大学特別コレクション、ロイヤルパヴィリオン博物館地方史コレクションを収めた文書館)を訪問し、史料収集を行った。Mass Observationプロジェクトでは、新聞広告を使ってボランティアを集め、特定のテーマ(なぜボランティアに応募したか、イーデン外相について、第一次大戦停戦記念日について、など)について意見を述べさせるとともに、毎月12日の日記をつけさせることで、英国民の生活時間についての把握を目指していた。前者の自由回答方式の調査はdirective、後者はDay Surveyと呼ばれている。収集したのは、directiveかDay Surveyのどちらか、または、両方に参加した828名からの回答である。本年度は、Day Surveyで集められた資料についての整理を進めているが、日記については書き起こしを行い、また、1938年の4月と8月に配布されたTime Chartという表形式の調査に関しては表計算ソフトで読み込み可能な形でデジタル化を行った。 あわせて、イギリスにおける生活時間研究のセンターとなっているオックスフォード大学のthe Centre for Time Use Reserch(CTUR)を訪ね、資料のデジタル化を中心とした共同研究の可否について協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
the Keepでは、Mass Observationに関する資料のデジタル撮影を進めており、渡英した9月には、まさにDay Surveyとして集められた書簡の多くがPDF化され、大学図書館などでの有料サービスを開始した直後であった。The Keepでは直接閲覧ができるので、電子ファイルで入手のうえ、一部残存しているデジタル化が未了の書簡や、デジタル化漏れのものなどを撮影し、帰国後データベース化を進めている。 生活時間についての情報は、通常の日記に相当するものと、日にちは限定されるものの、チャート化されたものがあり、日記のトランスクリプションとともに、チャート化されたものについては、スプレッドシートの形で電子化したうえで、分析を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
Mass Observationに関する資料のうち、分析を開始しているチャート部分については、20世紀初頭のイギリスにおける生活時間の様子を報告する形で論文執筆を行う。日記部分については、欧米言語を母語とする学生アルバイトを使ってトランスクリプションを進めているが、かなり時間を要する作業であることがわかったので、代行入力業者の利用も含めて検討し電子化作業を続ける。 並行して、19世紀以前の生活時間については、犯罪記録を用いた先行研究があるので、それを参考にしつつ、当該研究が出版された当時は利用できなかった電子化されたデータベースを用いて、生活時間の再構成を行い、Mass Observationを用いた分析と合わせて、長期的な変化を追ったうえで論文執筆を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の業務の都合上、航空費の高い時期に渡英したことに加え、海外からの研究者招聘にともなう国内旅費支出が重なって、旅費が想定よりも多い支出になったため、データ入力のためのアルバイト謝金のために10万円ほど前倒し支払い請求を行った。
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次年度使用額の使用計画 |
データ入力・整理のためのアルバイト謝金として使用する。
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