鐘淵紡績株式会社(鐘紡)の経営者であった武藤山治(1867-1934)は、1928年に南米拓殖株式会社を設立し、同社は1929年より、ブラジル・アマゾン川流域のパラー州トメアスに、移住事業を行った。そして現在、トメアスにおける日本人や日系人によるアグロフォレストリー(森林農業)の取組みは、農業収入と環境保全の両立を図るものとして、世界的に注目されている。本研究の目的は、日本人及び日本企業のブラジルに対する直接投資、移住事業、そして環境保全技術上の貢献について明らかにすることで、特に武藤の移住事業に関しては、彼の鐘紡における従業員を優遇する経営システムとの関係について詳察した。
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