母性に関連する死亡率から、明治、大正そして昭和戦前期における、わが国の「生活の質」をふり返ることが本研究の目的である。そのために、まず明治期後半から昭和戦前期を対象として、妊産婦死亡率、死産率、新生児死亡率等の推移を概観し、当該死亡率の継続的な低下傾向を確認した。つぎに、妊産婦に対する医療の充実というよりむしろ、出産を無事に終えられる健康な身体を獲得した女性の増加が当該死亡率の低下要因の一つである、という仮説を提示した。さらに、学童及び成人の体位データの分析から提示された仮説が一定の妥当性を持つと結論した。
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