最終年度では、研究課題として設定した4つの分野について包括的な取り組みを行った。 研究課題1の1819-1870 期の英領シンガポールにおける長期経済統計の推計については、現段階で入手した資料、データベース化したものを項目ごとに整理した。研究課題2の英領期のシンガポールの生活水準の国際比較については、英領シンガポールにおける名目賃金、消費者物価指数、実質賃金等の時系列データの作成を完成し、その研究成果をEconomic History of Developing Regionsに投稿した。現在、出版を検討する評価を得ることができ、本年7月を目安に形で修正をかけている。研究課題3については1870年以降の英領き政府財政支出に関する資料を入手し、データベースの作成を現在も進めている。研究課題4の実証分析については、政府財政行動と経済成長に関する草稿に着手した。次にステープル理論によるシンガポールの経済成長の検証については、研究課題2と統合し、論文を作成し、現在再投稿を行うための準備を行っている。 本研究の全体構想として設定した英領期シンガポールの数量経済史に関する体系的な研究を行ってきたが、資料の入手とともに、データベース化をする作業において想定以上の労力と時間を必要としたため、研究成果として対外的に示すことができなかった。今後も継続的に上記4つの研究課題に取り組み、成果の公表に注力していく所存である。
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