研究課題/領域番号 |
26380444
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研究機関 | 名古屋外国語大学 |
研究代表者 |
塩見 治人 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 教授 (40080238)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 産業集積 / 産業クラスター / サプライチェーン / 経路依存性 / グローバル化 / 雇用流動化 |
研究実績の概要 |
「産業集積」と「サプライチエーン」の現状にかかわる国内実地調査を3件行った。 1.筆産業の産業集積について広島県熊野町を現地調査し、①熊野筆事業協同組合、②(株)白鳳堂、③(株)竹寶堂、④関西金属(株)、⑤広島木軸、の5カ所を視察し聞き取りと資料収集を行った。 2.眼鏡産業の産業集積について福井県鯖江市を現地調査し、①福井県眼鏡工業組合、②(株)シャルマン、③竹内工業(株)、④ヨシダ工業(株)、⑤(株)マコト眼鏡、の5か所を視察し聞き取りと資料収集を行った。 3.東北・宮城県を実地調査し、名古屋経済圏とサプライチェーンで結ばれたトヨタの東北拠点への東日本大震災の影響について、①トヨタ自動車東日本(株)、および②大衝村、③女川町、④閖上町の各自治体を実地調査し、聞き取りと資料7収集を行った。 以上の調査結果は2回の研究会を踏まえて、現在検討中であるが、産業集積における「経路依存性」の重要性を抽出することができたと考える。また「空洞化」=海外流出の動向に歯止めがかかり、地域産業集積の自立化と国際競争力の新たな強化を見たように思う。これは実態調査の成果である。 この産業集積へのグローバル化の影響、さらにそこでの雇用の流動化についてはまだ検討できていない。本研究の目的でもあるので、今後の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究は実態調査を踏まえた動向を抽出し分析していきたいと考えている。初年度ではあるが3カ所の現地に出かけまず非常に感銘を受けた。多くの現地資料も収集できている。とくに現地自治体の調査データ、過去に刊行された町史・村史が入手できたことは今後の研究に有益な役割を発揮するものと考える。またそれぞれの産業集積の産業組合・業界団体も訪れることができたので今後交流するつもりである。 以上のように初年度として本研究のベースは構築できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は2年目に入る。東アジアの産業集積とのネットワークの形成について焦点を移す計画である。台湾、ベトナムなどの産業集積とわが国の産業集積との国際地域間連携を実地調査することを予定している。 また国内の特に名古屋経済圏の産業集積の調査にも力点を移したい。一宮の繊維産業、有松の絞り産業、関の刃物産業、豊橋の和筆産業を実地調査したい。 最後に今年度は雇用動向にも関心を移し研究会を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
①広島熊野町、②福井県鯖江町の2県の伝統産業の産業集積を実態調査し、宮城県の③女川町、④閖上町の被災地および⑤大衝町のトヨタ自動車東日本(株)の自動車工場を実地調査して名古屋経済圏と東北地方間のサプライチェーンの実態調査を行った。さらに予定の調査もあったが先方との関係もあり、次年度に実施することにした。 また調査用の機器を2セット購入し、さらに各自治体刊行の町史、市史をそれぞれ購入した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、残された国内産業集積の実地調査を5件実施し、また東アジアの産業集積の実態調査で台湾ないしベトナム(または2件とも)を計画している。
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