研究課題/領域番号 |
26380447
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
田原 啓祐 大阪経済大学, 付置研究所, 研究員 (50411393)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 戦時・戦後昭和期の郵政事業と日本経済 / 通信事業の経営史 / 三等(特定)郵便局 / 日本郵便事業史 |
研究実績の概要 |
本年度は、「戦時期の郵便事業政策をどのように評価するか」を課題として研究を進めた。 戦前昭和期は、これまで順調に成長した明治後期・大正期から一転して郵便事業の危機的時代と言われ、郵便利用が停滞し、郵便事業収支も悪化した時期であった。昭和8年「通信事業特別会計」の実現により、郵便設備の拡充や局員の待遇改善等郵便事業は一時好転を見たが、日中戦争および太平洋戦争下で郵政事業の運営状況は再び悪化した。この危機的状況において、逓信省がいかなる対策をとったのか、同時期の特定郵便局の実態と合わせて検討した。大正期、昭和初期まで進めてきた郵便サービスの供給サイドからの研究を戦後昭和期の時代まで継続して進めることによって、郵便史(通信史)研究、さらには経済史・経営史研究の幅を拡げることを目標とした。 戦時期における郵便事業政策に関する逓信省の内部史料は、郵政博物館に収蔵されたごく一部が残っているのみだが、逓信省の業務成果を年毎にまとめた部内報『逓信省年報』や統計資料『通信統計要覧』、「逓信公報」と呼ばれる布達書、逓信省の機関誌である『逓信協会雑誌』、当時の通信・運輸事業運営の指針を論じた雑誌『交通』、新聞記事を検討することによって、当時の社会背景にも注目しながら、戦時期の郵便事業政策の特徴を明らかにする。また、郵政博物館や各地の郵便局に残っている戦時期の地方郵便局史料の収集も積極的進め、これらの史料を通して、同時期における地方における郵便事業および郵便局の動向も検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、「戦時期の郵便事業政策」を課題として研究を進めたが、研究代表者の就職、本務の都合により、十分な資料調査及び収集活動を行うことができなかった。 そのため、研究論文執筆に遅れが生じ、本年度中の論文提出は実現できなかったが、その後も調査及び論文執筆を断続的に進めており、次年度前半には成果を提出することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、研究代表者の本職の都合により、十分な資料調査及び収集活動を行うことができなかったため、研究論文執筆に遅れが生じたが、本年度の課題は次年度早期に発表する予定である。 そして、「戦後占領期の郵便事業政策をどのように評価するか」を次年度後半の研究課題として併せて進め、前年度の遅れを取り戻すとともに、さらに新規研究成果を発表したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度就職し、就任1年目で本業に慣れるためにもそちらに専念する必要があり、資料調査(収集)活動のための出張に出かける機会が制限されたため、予定通りに研究費を使用することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度内に実行できなかった資料調査(収集)活動を積極的に進め、本年度に遂行すべき課題を論文として刊行し、研究の遅れを取り戻すとともに、次年度後半はさらに研究を進展させ、新規に研究成果(論文)を提出する予定である。
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