研究課題/領域番号 |
26380449
|
研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
濱島 敦博 吉備国際大学, 地域創成農学部, 准教授 (70581528)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 中国経済史 / 市場秩序 / 総商会 |
研究実績の概要 |
本研究は、1910年代から1940年代までの中華民国期中国を舞台に、商工会議所(「商会」)や同業・同郷組織(「公所・会館」)等の経済組織が、当時の市場経済システム、または「市場秩序」の形成において果たした役割を考察することを目的としている。特に、商事紛糾の解決過程における各種経済組織間の協力関係やネットワークに焦点を当てることにより、取引を保証する公的制度が未整備であったが故に取引費用の高かったとされる近代中国において、当時の各種経済組織が、取引費用を引き下げ、市場経済システムを形成・維持するための「制度」の一つとして機能していたことを明らかにする。 平成26年度は、本研究の実施初年度に該当し、資料収集に多くの時間を費やし、経済組織による商事紛糾の解決過程に関する資料、具体的には、1920年代初頭に青島で発生した大手商号の倒産に伴う債務整理問題に関する資料を中心に収集した。 資料調査の結果、債権者が広範な地域に偏在し、かつ、その属性が多岐にわたり、司法・行政組織等の公的機関では解決能力が不足していた状況下で、青島総商会内に設置された商事紛糾を取り扱う機関である青島商事公断処が債務整理を引き受けることにより公的機関の能力不足を補っていた点、および、青島、上海両埠の総商会が連携を取りながら、多岐にわたる利害関係者の調整を行っていた点が明らかになった。今後、当該事例に関して、地方審判庁など司法機関側からの資料についての調査を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、他の研究プロジェクトとの兼ね合いから資料収集調査の実施が一回に留まり、資料収集作業において研究計画に照らして進捗状況が多少遅れる結果となった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、昨年度に引き続き資料収集調査を実施し、更に、収集資料の分析・整理、論文を執筆を行い、学会報告等、成果を発信して予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究計画では、資料収集調査を2回実際することとしていたが、、その実施が1回に留まったため、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、資料収集調査の実際回数を増やすか、または、1回あたりの調査期間を延伸するなど、当初の研究計画に沿って助成金を使用する予定である。
|