研究課題/領域番号 |
26380449
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
濱島 敦博 吉備国際大学, 地域創成農学部, 准教授 (70581528)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 市場秩序 / 商会 / 取引費用 |
研究実績の概要 |
本研究は、中華民国期中国を舞台に、商工会議所(「商会」)や同業・同郷組織等の経済組織が、当時の市場経済システム、または「市場秩序」の形成において果たした役割を考察することを目的としている。平成27年度は、青島市档案館にて、2度の資料収集調査を実施した(平成27年9月及び平成28年3月)。対象となる資料は、1920年代の青島商会関連資料のうち、青島商会による商事紛争の処理案件に関するものである。 具体的な作業は下記のとおりである。まず、青島市档案館にて確認できる青島商会関連資料のうち、商事紛争案件のリストを作成し、青島商会による紛争案件の取り扱い業務の全体像を確認した。次に、上記の商事紛争案件中、1923年に発生した大型商号の破産案件に対象を絞り、商会が各関係者(債権者、債務者、司法機関、警察機関等)との間でやり取りした書簡を収集し、1925年の紛争解決に至るまでの具体的プロセスを把握した。 上記の作業を通じて、商会が取り扱る紛争処理案件の種類や紛争当事者の属性、紛争解決までに要する時間など商会による紛争解決機能の全体像を把握することが可能となり、更に、大型商号の破産案件に関する具体的な解決プロセスの分析を通じ、商会が司法や警察との公的機関と緊密な連携をとりながら、債権・債務者の紛争案件を積極的に処理していたことが確認された。商会が当時の市場秩序の形成において重要な役割を果たしていたことを示す一つの事例といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗状況については当初の計画より資料収集作業が遅れている。理由として、本研究の調査対象機関である青島市档案館に関連資料が所蔵されていることは研究申請時に確認できていたが、その後、当該档案館の資料デジタル化・閲覧制度の変更等の作業時期と重なったため、所蔵資料全体の把握に時間がかかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、収集した資料の整理と分析および論文の執筆に重点を置く予定である。現地調査については、補足調査として青島市档案館で実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
他業務との兼ね合いにより当初の予定より、資料収集調査の回数が一回少なく、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には、補足調査を含め、計2回の資料収集調査を実施する予定であり、うち一回は、平成27年度からの次年度使用額を用いる予定である。
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