研究課題/領域番号 |
26380454
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 伸夫 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30171507)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 文化 / モチベーション / 革新 / ルーチン / 成長の経済 / ダイナミック・ケイパビリティ / シミュレーション / 限定合理性 |
研究実績の概要 |
今年度は、X社に対する調査を継続する一方で、企業文化と革新に関する既存研究を整理・考察し、その研究成果を着実に発表してきた。 企業文化とモチベーションの関係については、これまでの研究を総括する論文として "Japanese work ethic and culture: A new paradigm of intrinsic motivation" を発表した。また、革新の基礎として、既存のルーチンや技術を考える研究が一般的に行われているが、ルーチンや技術と組織との関係に関する考察として、"Strategy and structure follow technology: A spinout proposition of J. D. Thompson's Organizations in Action" を論文としてまとめて発表した。実は、ルーチンの存在理由として、限定された合理性を暗黙の前提としている既存研究が多いが、限定された合理性に関しても、論文 "Where is bounded rationality from?" としてまとめて発表した。 さらに、革新概念をより深く掘り下げるために、革新と類似した概念で、近年注目されているダイナミック・ケイパビリティにも着目し、ダイナミック・ケイパビリティと組織の関係を分析する基礎として、成長の経済性の源泉に関する考察 "An essential service in Penrose’s economies of growth" を論文として発表した。 こうした既存研究に関する理論的な考察に加えて、文化と革新の関係を解き明かすのに必要なモデルについては、著書『経営学で考える』にまとめて、経営学との関係を強く意識しながら、その適用と限界について考察した。その中にはもちろんコンピュータ・シミュレーションのモデルも含まれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、既存研究等の理論的な総括をすることを目標としていたが、予定通り、基本的な概念パーツの考察と論文発表が進んだから。また主要な調査対象であるX社についても、調査協力が得られ、調査を継続しているから。
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今後の研究の推進方策 |
調査対象となる企業と、きちんとした信頼関係を構築しながら、より踏み込んだ調査を行い、現在の方向性と進捗スピードで、研究計画通りに進めていきたい。
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