研究課題/領域番号 |
26380454
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 伸夫 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (30171507)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 企業文化 / 組織革新 / 殻 / 所有構造 / 経営者支配 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、これまでの調査研究を踏まえて、調査結果の中間的な整理と、理論的な概念モデルを分析フレームワークとして整理することを中心に行った。 まず、調査結果の中間的な整理としては、自動車のディーラーの組織において、市場志向的なチームプレーを基本とする組織革新が、強固な個人主義的セールス文化の組織に、いかに浸透し、生き残ってきたのかを、実証データで示した。それとともに、ウェーバーの「殻」概念を用いた理論的なフレームワークを提示、適用して分析して、論文 "The survival of market orientation through artificial selection" (Kosuge & Takahashi, 2016)にまとめて、英文誌に発表した。この分析フレームワークは、2017年夏に予定している運送業の組織(従業員数1000人以上)の質問票調査(全数調査)にも用いられる予定である。 また、平成28年度は、強い企業文化の源泉の一つとして、企業の所有構造にも注目し始めた。まずは先行研究の整理として、経営者支配に関する経営史的な知見を整理し、論文 "Ownership structure follows managerial strategy: Management control revisited" (Takahashi, 2017)にまとめて、英文誌に発表した。日本企業の実態からは予想されていたことではあるが、これまでのところ、米国企業に関しても、従来の定説とは異なり、所有構造が決定的に効くというよりは、むしろ経営者の戦略、政策の方が所有構造に影響を及ぼしている可能性が高く、そのことは作業仮説として、今後の調査計画に反映させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は研究期間5年間のちょうど真ん中の年に当たり、研究開始当初から前半に予定していた諸々の予想、仮説の検証、検討を一通り終え、後半に向けて、新たな分析フレームワークと仮説が形作られ始めたという点で、ほぼ順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在計画中の運送業の組織(従業員数1000人以上)の質問票調査(全数調査)を数年かけて継続的に行い、併せて、インタビュー調査や事業所見学を行い、これまでの調査データとも突合せつつ、分析フレームワークの検討と仮説の検証を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、投稿準備中の英文論文の投稿時期が、やや遅れ、予定していた掲載料等の支出が翌年度にずれ込んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、投稿準備中の英文論文を投稿し、掲載料等を支出する予定である。
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