研究課題/領域番号 |
26380458
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
柳原 佐智子 富山大学, 経済学部, 准教授 (40262505)
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研究分担者 |
古賀 広志 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20258312)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | テレワーク / 組織市民行動 / 道徳的創造性 / 行動規範 |
研究実績の概要 |
今年度は昨年度テレワーク環境の社会的物質性の観点から明らかにした組織市民行動のモデルをもとに、何らかのテレワーク環境を持つ企業や組織の事例について、主にインタビュー調査とそのまとめを中心に行った。 1例目は既に調査済みであった家元型組織におけるオンラインコミュニティでの組織市民行動が表出する事例について、そこでのコミュニケーションが知識共有と知識蓄積に影響を与え、その行動が個人に向けたOCB(OCBI)でありながら組織に向けたOCB(OCBO)にもなっていることを明らかにした。2例目は前年度の中小企業のモバイルデバイス導入において、その組織でのコミュニケーションや行動がさらにテレワークのための暗黙知につながっており、またそれを組織内で働きかけることでテレワーク環境への理解が進むことを示した。3例目は公立高等学校の情報システム管理担当教員の行動を分析し、組織市民行動がその組織を支えていることや、テレワーク環境がないことで、担当者が変わった時の後任に対して、蓄積した知識を移行しにくい状況にあることを示した。4例目はフューチャーセンターにおけるコミュニケーションの事例を分析し、テレワーク環境がコミュニケーション活性化に寄与するが、そのためにはコミュニティ組織の立ち上げ時に十分な信頼関係を構築する基盤を作る必要があり、さらにファシリテーターがその後の成否を決める可能性があることを示した。 また、これらのテレワーク環境を議論するため、テレワークのあり方について、この20年のテレワークを取り巻く環境変化についても検証し、テレワークの新たな問題点についても明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我が国のテレワーク導入状況は変化が著しいが、導入環境に左右されずに組織の文化として組織市民行動が行われていると考えられる事例の調査を順次行うことが出来、今後の成果につなげることが可能になっている。また、これまでの成果の報告も国内学会の大会と学会誌および国際大会にて行っている。
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今後の研究の推進方策 |
テレワークそのものの考え方や政策としての位置づけが明確になりつつも、組織のあり方や文化との関わりが曖昧なままである部分が多いため、組織行動の視点をさらに追究しながら、テレワーク環境の組織における組織市民行動から知識にいたり、それが管理されるモデルを作成する。その際、セキュリティ面やプライバシーに関する問題もあわせて考察し、システムの導入ありきにならないように検討する。
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