研究課題/領域番号 |
26380463
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
築達 延征 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (50255238)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 企業体質 / 企業危機 / 組織文化 / 企業倫理 / 社会的責任 / CSR / 企業の謝罪 |
研究実績の概要 |
日本企業の活動がグローバル化する中で、不祥事における従来の対応が国内外で疑問視される時代になった。平身低頭な「謝罪」・無視・中途半端な説明・ディフェンス等の対応が不適切とされ、不祥事から危機へと発展するケースを目にする。一方、不祥事対応でのコーポレート・アポロジアの有効性も明らかになった。本研究では、この短期的な対応法に加え、中・長期的な「信用回復」を目標とする「人格化する企業」(anthropomorphized corporation)のあり方を探究する。 今年度は、企業危機・不祥事に関する英文の学術論文のクリティカル・レビューを行った。不祥事が危機に発展したパターン、終息したパターンを研究した文献に注目した。不祥事を誘発させ、不祥事対応にも影響を及ぼす組織文化についても調査した。英文の学術論文を検索、収集するために、複数のオンライン・データベースを利用した。 また、「人格化する企業」anthropomorphized corporationの概念を発展させた。従来の企業危機管理では、企業の「法的責任」を論じる「法人」という用語があった。しかし、本研究では、修辞学・企業倫理を母体にした考え方を発展させた。修辞学から発想する危機管理では、当該企業の「倫理的責任」を問う「人格化する企業」という概念が研究されていた。本研究では、不祥事企業の「更生行動」・CSR活動がどのように、危機の悪化もしくは終息・復活に影響するのかを考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究成果をアメリカ、フィラデルフィアで開催されたAcademy of Management Conference 2014(フルペーパー、レフェリー制)にて、発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初は、日本企業による不祥事対応の不適切について、グローバルな視点からとらえようとしていた。ところが、昨年度は、日本マクドナルド、ベネッセコーポレーション等の不祥事が日本国内でも起こり、不祥事対応でのコーポレート・アポロジアのあり方について考察する必要が出た。中・長期的な「信用回復」を目標とする「人格化する企業」(anthropomorphized corporation)のあり方以上に、無視・中途半端な説明・ディフェンス等の対応が不適切とされ、不祥事から危機へと発展したケースであった。
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次年度使用額が生じた理由 |
アメリカの学会で論文発表をもう一本予定していたが、学内の業務(入試・会議)等と重なり、渡米できなくなった。その結果、当初予定していた旅費を使いきらなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年7月にイギリスのロンドンで開催されるSociety for the Advancement of Socio-Economicsで論文発表すべく、旅費を使用する。
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