本研究で調査したビジネスモデルは、当初から出来上がっていたのではなく、実際に事業活動を遂行する中で少しずつ洗練させていったものであった。ソーシャル・イノベーションのプロセスは、必ずしもリニア―な(線形的な)ものになるとは限らない。フローレンスのケースが示しているのは、当初は赤字経営が当たり前とさえ言われた病児保育事業分野において、行きつ戻りつの試行錯誤を経て、現在のように採算のとれるビジネスモデルが構築されたということである。ソーシャル・イノベーションの実現プロセスは、リカーシブな(再帰的な)側面を有するものであった。
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