研究課題/領域番号 |
26380478
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
佐藤 修 東京経済大学, 経営学部, 教授 (50170725)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 参照分析 / 情報システム |
研究実績の概要 |
平成28年度の継続で、参照分析を進めました。成果は「JAISにおけるSens-8の参照動向」(日本情報経営学会第73回全国大会,9月18日,九州産業大学)として発表しました。その内容は、AIS(Association for Information Systems)で主要学術誌として推薦されているSenS-8への参照構造を、JAIS(Journal of AIS)の第8巻から第12巻迄の掲載論文における参考文献について計量分析しました。第一階層にある主要3誌については既存研究があるので、本研究では第二階層の5誌を含めて研究しました。この結果、第一階層についてはLowry et al.(2013)の主張を裏付ける結果となりました。しかし第二階層は、第一階層とは対照的な参照パターンであることを見つけました。これが本研究の重要な成果です。 当初の研究計画では、今年度は研究課題の時系列的推移や地域的分布の違い等について研究する予定でした。しかし昨年度の報告書でも説明しましたように、欧米の有力出版社のインターネット環境での革新的新サービス展開が進み、参照分析の技術・機会が爆発的に拡大しました。具体的にはElsevier B.V.社のSCOPUSやClarivate Analytics(旧トムソン・ロイター IP&Science)社のSocial Sciences Citation Index等の新しい参照情報提供サービスを前提とした、従来研究とは分析データの桁数が違う分析手法が学会でも研究に使われるようになりました。当初の予定では参照分析は初年度だけで、平成27年度以降は所属分析やテーマ分析に対象を展開していく予定でした。しかし、参照分析領域で上記のような革新的な研究アプローチが展開しつつあるので、その成果を研究しつつ、参照分析を更に追求することが大事であると認識しています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度は、学内で拘束・負担の多い業務担当に任命されたため、研究活動への制約が大きくなり、殆ど研究活動を進めることができませんでした。海外での研究調査や研究発表も計画し、そのための予算も申請して御認可頂きました。しかし上記のため出張自体が不可能となり、予算も未消化で大きく残る結果となりました。 当初計画では、初年度だけで参照分析が一段落できると予想(予定)していました。その参照分析に昨年度も今年度も費やし、所属分析やテーマ分析のように当初計画していた展開分析に進めていないという点では、計画から大幅に遅れていると見做せます。しかし上記のように、参照分析の研究機会自体に革新的機会が生まれているので、これに対応して参照分析を更に追求することは、意味ある事と考えています。
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今後の研究の推進方策 |
今年度から学内でもElsevier B.V.社のSCOPUSサービスが利用できるようになったので、これによる新しい参照分析の方法を研究し、欧米の新しい参照分析の成果と対比できる研究成果を出したいと思います。申請者が個人的に開発してきた既存の研究方法・研究ツール(そのためのソフトウェアを個人で開発して今迄の研究に利用していました)は、上記の技術革新により陳腐化しました。外部の技術革新への対応とこれを活用する研究アプローチの開発に暫く時間が掛かると思いますが、これを進めたいと思っています。 残念なことは、昨年度時間を取られた学内業務が今年度も継続します。このため、今年度も研究に利用できる時間が限られると予想されます。この結果、予算未消化も拡大すると今から予想(懸念)しています。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費申請時点では予想できなかった学内業務の負担が大きく、当初研究のために使えるはずであった時間をこのために割かざるを得なくなりました。このため研究活動が大幅に制限され、使用予定の予算が大幅に残ってしまいました。
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次年度使用額の使用計画 |
今迄の研究計画からの遅れを取り戻し、新しい参照分析の機会も活用できるように、研究活動に取り組みたいと思います。しかし今年度も上記学内業務が継続するため、実際には難しいと思います。次年度使用額が今年度末にも更に拡大することは、今から予想できます。
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