研究課題/領域番号 |
26380484
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
吉成 亮 愛知工業大学, 経営学部, 准教授 (00509135)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 職業集団 / プロフェッショナル化 / カテゴリ / 批評家 / 市場の創出 |
研究実績の概要 |
職業集団のプロフェッショナル化に関する企業評価の研究を継続して行っている。1年間の研究を進めていく中で、医薬品業界の中でも特にジェネリック医薬品に注目し、この業界を対象に研究を進めている。その研究の中で、ジェネリック医薬品に関する業界団体という職業集団がプロ化していく中で、企業活動を円滑化するサポートとしてこれまでとらえてきたものの、必ずしもそうではないことを発見しつつある。つまり職業集団は一方で企業活動を円滑化し、他方、顧客の公正な情報提供を行う。職業集団はこのような両側面の活動の中でその地位を確立していることを、このジェネリック医薬品の業界団体という職業集団において証明しつつある。 しかしながら、研究の当初の問題点でもあるが、今後の研究ではいくつか問題を抱え、その解決策を模索している。その1つは企業評価の測定に関することである。企業評価を最も単純に測定することは売上高、経常利益などいくつかの方法が考えられるものの、必ずしもそれらがすべての評価とは言えない。ただしこの評価の測定方法を確立しなければ、研究が一定の成果にならないため、困難性を抱えていると言うことができるだろう。 そこで本研究では、カテゴリ研究の知見を最大限に活用したいと考えている。カテゴリは企業、そして顧客をつなぐ認知的な枠組みである。その中にどのように職業集団が媒介しているのかを研究していくことによってその果たしている役割が明確になるだろう。具体的にはテキストマイニングを利用してカテゴリの生成を研究していくことによって、企業評価と結びつけていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究当初の目的では職業集団という存在を、企業の側から研究をとらえていたのに対して、現在では、顧客の側からもとらえていく必要性を十分に把握している。これらの両側面がとらえられてこそ、職業集団の役割が本質的に明確になっていくと考えることができる。 それゆえ研究当初考えてきた内容だけでは捉えきれなくなくなっているという現状があり、当初の研究目的の限界が見てていると言うことができる。その意味において研究は進展しているということができるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の研究当初も含め、これまでの研究では、職業集団の役割を、企業から捉えることが多かった。それに対し、本研究を進める中で、職業集団が自律性というプロフェッションの要件を備えるためには、職業集団が企業活動を促進するだけでなく、顧客や政府の活動を促進することが必要であることを把握しつつある。 そこでこの研究をより円滑に進めるために、新たにキーワードとしてカテゴリを加え、カテゴリの形成に、企業、政府、顧客、職業集団が、どのような関わりを持つのか、そしてその中で職業集団がいかにしてプロ化していくのかと言うことを、医療、保険、証券などを対象にして研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入として予定していた約30万円程度のデータブックを利用する権利が、データブックを制作している会社の許可をいただき、無料で提供を受けることができた。このことが初年度に残額が生じた主な理由である。 しかしながらそのため、初年度は当初より円滑に研究を進めることができた。また今年度も無料で情報提供を受けることができるため、初年度で得た成果を、今年度は論文として成果にすること、また学会発表をすることで多くの研究者から意見をいただき、さらなる発展につなげることにしたいと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
これらの残額に関して、初年度にデータを利用する権利を次年度も継続して利用する権利がある。そのため、異なる業界で必要となるデータ取得のための費用および、今年度まとめた成果を報告するために次年度の学会発表の旅費に充てたいと考えている。
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