研究課題/領域番号 |
26380484
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
吉成 亮 愛知工業大学, 経営学部, 准教授 (00509135)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プロ化 / 人材育成 / OJT / MR / 医師 / 批評家 |
研究実績の概要 |
本研究は、職業集団のプロフェッショナル化が企業評価に与える効果に関して実証することを目的にしている。そのために製薬業界を対象にし、この効果を実証してきた。具体的には、製薬業界の職業集団である製薬協と営業部門の育成機関であるMR認定センターのプロフェッショナル化を検討してきた。そしてそのような職業集団のプロフェッショナル化が製薬会社の業績など、社会からの評価に与える影響を検討してきた。 研究の当初では、職業集団のプロフェッショナル化を促すために、仕事の自律性と長期的な訓練の必要性を理論的に導き出したものの、各社の営業人材育成担当者からのインタビュー結果によれば、職業集団のプロフェッショナル化を促したのは国公立をはじめとする大病院の製薬会社の方針(特にMRに対する方針)であり、大病院がMR認定資格を持つ製薬会社の営業担当者のみを入構できるという方針であった。そのため製薬会社はMRの資格を持つことは営業部門にとって必須の条件となり、製薬会社は特に新入社員のMR認定資格の取得に対して注力していることが分かった。 その意味においてこの資格を認定する職業集団は製薬会社に対して一定の役割を担っているものの、ほとんどの営業担当者がこの資格を1年から2年以内に取得していることから、長期的な訓練を必要とせず、医療用医薬品を評価する立場にいる医師(もしくは病院)という外圧によって職業集団の形成がなされたことから仕事はいまだ自律性を獲得しているとは言いがたい状況にある。それゆえ、この業界の営業部門では職業集団のプロフェッショナル化が進展しないという結論に達している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費により製薬会社および職業集団及び業界団体などへのインタビューを着実に行っている。一部の製薬会社はではインタビューを断られたケースも存在するものの、粘り強く交渉することによって、大企業および中堅企業、内資および外資を問わずに実施することが出来、上記のような結果を得ることができた。しかしながらここ2,3年の間に製薬業界が急速に変化している。ジェネリックの台頭がもっとも業界に採ってインパクトが大きく、この動向をふまえた研究が必要になっており、その成果を論文としてまとめている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、部分的には補足的なインタビューを行う必要があるものの、これまでの2年間のインタビュー及び調査結果をもとに、1つの研究成果としてまとめることに注力することである。特に職業集団と企業評価の関係について検討していくことを目的とし、あたらな研究の方向を見出していくことも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アルバイトを雇うことによってデータの収集と分析を部分的に補助してもらう予定であったが、アルバイトを雇わずに自力で行うことによって、研究が効率化すると考え、そのように行ったためである。 また国際学会の参加費を他の予算で捻出したため、残額が生じた。国際学会に参加し、報告をする費用は次年度で使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
本来、最終年度は1回の国際学会への参加と報告を予定していたが、途中経過も含め、2回の国際学会への参加と報告を行う予定である。いずれの国際学会にても内容は異なるものの、2年間の研究成果を報告する予定である。
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