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2014 年度 実施状況報告書

組織のレジリエンスを高めるリスクマネジメント教育の探求

研究課題

研究課題/領域番号 26380485
研究機関金城学院大学

研究代表者

小室 達章  金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (00335001)

研究分担者 後藤 昌人  金城学院大学, 国際情報学部, 准教授 (30402473)
畠山 正人  金城学院大学, 国際情報学部, 講師 (50635240)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードリスク / リスクマネジメント / 危機管理 / リスクの想定 / PDCA / テキストマイニング
研究実績の概要

本年度の研究概要は以下の2点である。
まず第1に,本研究の鍵概念である「リスク」という言葉が、どのようなコンテクストで用いられているかについて,テキストマイニングという技法を用いて分析した。具体的には,リスクマネジメントについて書かれた20年間もの新聞記事が,純粋リスク・投機的リスク,経済性・信頼性・正当性というカテゴリーにおける言葉をどのように用いているかについて時系列的に分析した。その結果,特定のカテゴリーのリスクは、特定のイベントの発生によって認識される可能性が確認された。また,過去20年において、マネジメントすべきリスクは多様になっているが、イベントの発生がないと沈静化する傾向にあることが明らかになった。この分析については,2014年7月の日本情報経営学会の中部部会において学会報告をおこなった。
第2に,PDCAサイクルを前提とするリスクマネジメントシステムにおけるリスク想定の困難性について明らかにした。リスクの想定には,さまざまな困難性が存在するにも関わらず,PDCAの「P」すなわち計画に相当するため,想定しさえすればリスクをマネジメントできるという考えに陥る危険性があることを指摘した。これは,本研究がリスクマネジメントシステムではなく,リスクマネジメント教育に焦点を当てる上での前提となる。つまり,これまでの制度設計への焦点ではなく,人材育成への焦点への移行の根拠となる。この分析結果については,2014年9月のInternational Conference on Information and Social Scienceにおいて学会報告をおこなった。
研究成果の全体は,現在まだ公表する段階にはないが,次年度には,いくつかの調査および事例分析を通じて,より詳細な定性分析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね順調に進展していると評価する理由は,以下の3点である。
第1に,リスクという概念について,テキストマイニングをおこなうことによって,どのようなコンテクストでリスクという言葉が用いられててきたのかを明らかにしたことである。また,その分析結果を,学会報告として発表できたことである。
第2に,リスクマネジメントを実施するにあたって,PDCAサイクルを前提とするリスクマネジメントシステムにおけるリスク想定の困難性について言及したことである。これによって,リスクマネジメントシステムという制度設計ではなく,リスクマネジメント教育という人材育成に焦点を当てるための前提を整理できたことである。また,その分析結果を,学会報告として発表できたことである。
第3に,具体的な事例調査の方向性として,想定すべきリスク,リスクマネジメント教育という人材育成のあり方について,一定の目処がついたことである。教育を通じた人材育成の1つの方向性として,リスクマネジメント教育・地域防災教育ではないものの,高等教育機関における実践型教育の有効性に関して考察することもでき,その成果を研究分担者との共著論文として発表した。

今後の研究の推進方策

これまでと同様に,多面的にリスク概念およびリスクマネジメント原理に関する既存研究を網羅的にサーベイすると同時に,それが現象としてあらわれている事例を調査することである。具体的には,防災訓練や安全教育といったさまざまなリスクマネジメント教育の事例分析である。そのため,各種資料の分析と,関係者へのヒアリング,また,関連する学会報告への参加を通じて,必要な情報を収集・分析し,多面的な解釈や,リスクマネジメント教育のプロセスを定性的に解明していく。

次年度使用額が生じた理由

今年度は,リスク概念およびリスクマネジメントシステムに関する文献サーベイを重点的におこなったため,事例調査のスケジュールが遅れることとなった。また,研究分担者とのスケジュール調整によって,事例調査を次年度に重点的におこなうこととしたため,事例調査に用いる旅費の使用が少なくなった。次年度以降の事例調査のスケジュール調整および段取りはついている。

次年度使用額の使用計画

次年度の物品費は,リスクマネジメント教育に関する文献・資料の購入に使用する予定である。また,旅費は主に,今年度おこなう予定だったリスクマネジメントおよび地域防災担当者へのヒアリング調査,成果報告のための学会参加のために用いる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 実践型教育の有効性を高める教育プログラムのあり方2014

    • 著者名/発表者名
      後藤昌人・小室達章・中田平
    • 雑誌名

      金城学院大学人文・社会科学研究所紀要

      巻: 18 ページ: 33-43

  • [学会発表] Assumption of Risk and PDCA Cycle in Risk Management Studies2014

    • 著者名/発表者名
      Tatsuaki KOMURO
    • 学会等名
      2014 International Conference on Information and Social Science
    • 発表場所
      Nagoya
    • 年月日
      2014-09-09
  • [学会発表] テキストマイニングを活用したリスク概念の分析2014

    • 著者名/発表者名
      小室達章
    • 学会等名
      日本情報経営学会中部支部2014年度第1回研究会
    • 発表場所
      愛知学院大学
    • 年月日
      2014-07-12

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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