研究課題/領域番号 |
26380485
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
小室 達章 金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (00335001)
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研究分担者 |
後藤 昌人 金城学院大学, 国際情報学部, 准教授 (30402473)
畠山 正人 金城学院大学, 国際情報学部, 准教授 (50635240)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リスクマネジメント / 危機管理 / 地域防災 / リスク |
研究実績の概要 |
今年度の研究概要は以下の2点である. 第1に,リスクという概念がどのような意味・コンテクストで用いられているのかを,テキストマイニングという手法を用いて分析した。これは昨年度からの継続している研究である。具体的には,現実に起こったリスクイベント(企業事故、災害、不祥事など)をふまえながら,リスクマネジメントについて書かれた新聞記事のテキストマイニングをおこなうことで,1)組織や社会は、新聞記事などに取り上げられるリスクイベントが発生すると,それをマネジメントすべきリスクとして認識する,2)そして、さまざまな種類のリスクイベントが発生すると、その結果,マネジメント(管理)すべきリスクが,特定のコンテクストだけでなく多様なコンテクストにおいて注目されるようになる,ということを明らかにし,研究成果として論文にした。 第2に,地域防災におけるリスクマネジメント教育についての先行研究のサーベイと情報収集である。特に,防災シンポジウムやワークショップへの参加を通じて,リスクマネジメント教育の現状と方向性について,1)情報通信技術(ICT)の利活用を通じた過去の災害の教訓や防災知識の獲得・活用,2)事前計画への固執とそこからの脱却という観点からの防災教育のあり方,を見出すことができた。これにより,今後の調査や事例分析への枠組みを想起することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れいているという評価する理由は,以下の2点である。 第1に,情報収集やサーベイの範囲を限定したことである。リスクマネジメントの対象となるリスク概念についての分析は概ね完了したが,リスクマネジメント教育については,予想以上に広範囲に行われているため,包括的にサーベイや情報収集することが難しかった。そのため,今年度は,地域防災に限定して情報収集や先行研究のサーベイを行った。 第2に,事例研究などの定性的分析がまだ成果に至っていないことである。昨年度に行ったPDCAサイクルをベースとしたリスクマネジメントシステムの限界をふまえると,事前計画への固執からもたらされる困難性に,リスクマネジメント教育がどのように対応しているかという視点が導かれた。その観点からの先行研究のサーベイや事例分析をおこなうという枠組みを構築することができた。しかし,まだ研究成果として公表する段階ではなく,いくつかの調査や事例分析を通じて,詳細な定性分析をおこなう必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
地域防災において,どのようなリスクマネジメント教育が実施されているかについて,より網羅的に情報収集を行う。具体的には,各種資料の分析,学術ワークショップやシンポジウムからの事例収集,関係者へのインタビューを通じて,具体的な事例分析へとつなげていく。特に,情報収集やサーベイの範囲を限定させた地域防災における,防災訓練や安全教育といったリスクマネジメント教育の実態を,事例分析より明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
未消化の研究費は,本来,事例調査のための旅費に使用する予定であったが,調査対象を地域防災に限定させたことにともない,当初予定していた調査先ではなく,新たに地域防災を調査先として選定することにしたため,使用することはなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降に,地域防災教育に関して,新たに選定する事例調査の旅費として利用する予定である。また,リスクマネジメントや地域防災に関する資料の購入にも一部利用する予定である。
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