2014年の本科研費研究開始より、地域産業振興に向けた組織間連携促進への取組みについて、医療機器関連分野を対象に日本の3地域(神戸市、浜松市、福島県)のケーススタディを実施した。この国内の研究については得られた知見を論文および著書として発表した。 以上は平成28年度までに完成させ、最終年度である平成29年度は、上記国内研究において「初期条件」「相互作用とコミュニケーション」「場」「介入」を主要概念とした理論構築をさらに精密化させるために産学官連携、自己組織化、変革マネジメント等の先行研究を進めた。それと同時に、同産業において国際競争力の強いドイツを対象に事例の対象を広げ調査を実施した。 ドイツのケーススタディは州政府の産業振興の取組みと組織間連携の促進について複数の地域を対象に調査を進める予定であるが、最終年度はそのパイロットスタディとしてノルトライン=ヴェストファーレン州を対象に二次資料および現地調査を実施した。現地調査では、同州における医療機器分野の産学官連携を促進するためのプラットフォームを設立し、数々の支援を実施している主体である州政府の関係者、同州の医療機器分野のクラスター組織のプロジェクトマネジャー、さらにその傘下にある同州各地域のクラスター組織のプロジェクトマネジャーにインタビュー調査を実施しデータを収集した。 今後は、これら支援のもとで組織間連携に参画した主体を対象に現地調査を継続する。また、同様にその他地域(バイエルン州等)の調査も継続的に実施する。
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