本研究の目的は、コスト効率性と診療所との地域連携を達成するために、医療情報システムを活用するには、いかなる組織能力が必要なのか、を定性的・定量的に検討することである。 最終年度の全体的な研究成果として、論文や著書などの形で成果物をまとめるところまで至っていない。実施予定であったアンケート調査を実行できなかったためであり、その経費に関しては返納処理を行った。 令和1年度に実施した調査の主たる概要は、平成30年度と同様、チームパフォーマンスに影響を与える独立変数の検討である。そのために行った活動は、以下の2点である。 第1に、チーム医療における看護師に焦点を当て、聞き取り調査を複数回行った。看護師にはクリニカルラダーという臨床における実践能力を把握するための基準が設けられている(ニーズをとらえる力、ケアする力、協働する力、意思決定を支える力)。これらの能力と情報システムを活用するための能力にどのような関連性があるのかに関心をもちながら進めた。 第2に、実務で用いられるこれらの基準を既存研究の枠組みでとらえるために、継続して文献研究を行った。重点的に文献検索を行っている分野として、知識共有、組織メモリー、チームパフォーマンス、組織ルーティン、組織能力である。
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