研究課題/領域番号 |
26380490
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
辻田 素子 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40350920)
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研究分担者 |
姜 紅祥 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80626713)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネットワーク / コミュニティー / ソーシャル・キャピタル / 華人華僑 / 中小企業 / 創業 / 海外進出 / 欧州 |
研究実績の概要 |
本年度は研究プロジェクトの初年度にあたる。本研究の分析枠組みを検討しつつ、欧米諸国に在住する温州人や福建人、広東人などへのインタビュー調査を実施した。具体的な活動実績は以下の通りである。 1)ネットワークやソーシャル・キャピタルに関する既存議論と、現地調査で得たデータを多面的かつ包括的に検討し、本研究プロジェクトの遂行に不可欠なキー概念「コミュニティー・キャピタル」(community capital)を抽出した。 2)欧州在住の温州人華僑を対象とした従来の研究実績を踏まえながら、2回にわたって欧米在住の福建人や広東人などの非温州人華僑を対象とした現地調査を実施した。また、現地調査に先立ち、統計分析用の質問票(A4用紙6ページ)も作成した。第1回(2014年8月3日~15日)の現地調査先は、イタリア(フィレンツェ、プラート、ローマ)、オランダ(アムステルダム)、アメリカ(ニューヨーク)で、第2回(2015年3月22日~31日)は、フランス(パリ)とスペイン(マドリッド、マラガ、バルセロナ)である。中国人の華僑華人が古くからの集住している地域に加え、近年中国人華僑が多数移住している地域を選定した。この2回の調査を通じて温州人と非温州人合わせて約40人にヒアリングすることができた。 3)新たなテーマとして,日本在住の福建人華僑(主に福清華僑)に関する調査研究を開始した。京都、大阪、神戸にある福建同郷会の支援を得て、福建人華僑に対する探索的なインタビューを実施しながら、既存文献を整理し、福建人の日本移住プロセスや歴史ある福建同郷会の活動実績、現在直面している課題などを分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者は2015年夏に骨折のため自宅療養を余儀なくされ、第1回の海外調査に同行できなかった。だがそれゆえ、温州人華僑に対するこれまでの調査研究実績を踏まえた、質問票(A4用紙6ページ)を作成した。幸いなことに、この質問票が作成されたことによって、インタビュー形式のアンケート調査を一定の品質を保ちながら、第3者に委託できるようになった。また、質問票の作成によって、短時間に、効率的かつ効果的に、インタビューが実施できた。よって、現地調査は当初想定通りに実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
課題の第1は、さらなる現地調査を通じて、非温州人華僑のデータ数(インタビューイー約40人)を温州人華僑のデータ数(インタビューイー約130人)にできるだけ近づけることである。 第2として、日本の福建人華僑コミュニティーの分析にあたって、福建人華僑・華人に対するインタビューを重ねる必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の事故(骨折)により、国内のヒアリング調査が当初予定していた回数よりも少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度実施できなかった国内のヒアリング調査は、今年度に実施する予定であり、前年度からの繰越額はその費用にあてる。
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