研究課題/領域番号 |
26380492
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
西岡 健一 関西大学, 商学部, 准教授 (40553897)
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研究分担者 |
南 知惠子 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90254234)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サービス・イノベーション / ICT / サービタイゼーション / オペレーションズ・マネジメント |
研究実績の概要 |
以下3つの研究内容に分け、説明する。 (1)ビジネスのサービス化における技術開発部門の役割について、主に製造業に研究対象を絞り事例研究を行った。平成26年度は三菱重工、川崎重工、横河電機、パナソニック等先端的な取り組みを行っている企業を対象に取材を行い、新たな研究成果を得ることができた。その結果は平成27年6月に開催される欧州最大のオペレーションズ・マネジメントの学会(Euroma)にて発表することが決まっている。 (2)ビジネスのサービス化におけるICT技術の新たな役割について、主に流通業を研究対象に絞り事例研究を行った。これは、平成24年度、平成25年度に収集した事例とデータを基により精緻に理論化し、研究成果を発表すると共に今後の研究課題をより明確化している。平成26年度はEuromaのパブリケーションワークショップ及び本大会にて発表し関連研究者と意見交換を行い、研究の発展を見ることができた。これについても海外査読雑誌に投稿準備中である。 また新たに(3)サービス業におけるサービス・オペレーションの理論研究に着手した。具体的には現在、非常に注目を浴びているブライダル企業株式会社レックからの全面協力の下、マーケティング、オペレーション、そしてサービス・サプライチェーンの観点から、オーディット調査、ブループリント調査、インタビュー調査等、様々な調査手法を用いてデーターを収集した。特に平成26年度は事例開発と研究課題の抽出に力点をおき、理論的仮説の形成を意図し、具体的にはサービス・サプライチェーン理論を基に、サービス・ビジネスがイノベーションを起こす条件をリソース取得のネットワーキングを観点に研究を進めている。これらの成果として、共同研究者とケース論文を作成し平成27年6月に刊行が決まっており、同様に2015年のEuroma(前述)においても学会発表を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は今回の科学研究費プロジェクト初年度にあたり、そのため4年間に及ぶ研究計画の基盤を確立させることを目的とし、研究課題を理論的により精緻化・明確化させてきた。その点で見てみると、大きな成果として平成26年6月に専門書を公刊することができた。これはこの研究プロジェクトを遂行するための基盤となる研究成果をまとめた本であり、これにより今回の研究プロジェクトの立脚点が固まったと言える。次に平成26年度の具体的な進捗を見てみると、(1)ビジネスのサービス化における技術開発部門の役割、(2)ビジネスのサービス化におけるICT技術の新たな役割、(3)サービス業におけるサービス・オペレーションの理論研究、について先に示すように基礎的な研究実績を蓄積してきている。特に(3)については、新たな事例を開発し、新たな研究分野を開発できたことは、平成26年度の研究は計画以上であったと言える。一方、査読雑誌への投稿は2件行ったものの、当初予定にあった2件は平成27年度に持ち越しており、その点を割り引くと計画は順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度前半は、前年度から引き続き事例研究を行いつつ、理論仮説の構築を行う。そして、平成27年度後半からは、次の段階として、本分析枠組みにおける、構成概念間同士の検証を行うため、定量的データを収集し、統計解析による実証研究を行う。従来、素材メーカと小売業に着目して事例研究を行ってきたが、それをより一般的な理論構築を行うために、製造業、サービス産業全般に対してデータ収集を行う。これは対象企業の複数部門への質問紙調査を実施するとともに、市販の小売企業のデータベース等からのデータ収集とデータベース化を行う。そして、これらの収集されたデータに基づき、構築された仮説の検証を行う。研究蓄積の少ない分野であるために、事例収集と分析による理論構築作業は研究期間全体を通して行われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張旅費について、一日滞在日数が計画よりも少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
26年度の繰り越し分は、27年度の配分額分の主に旅費に充当し、具体的には国内調査費のケーススタディ対象企業のヒアリングのために活用する。
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