研究課題/領域番号 |
26380503
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
弘中 史子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (10293812)
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研究分担者 |
寺澤 朝子 中部大学, 経営情報学部, 教授 (40273247)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中小企業 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本経済を牽引する製造業を対象に,グローバル化時代における中小企業の技術力と組織力発揮のマネジメントのあり方を検討するものである。特に海外現地生産に焦点をあてて研究を進めている。グローバル競争が激化する中で,中小企業の海外生産もますます進展している。日本のものづくりの強みである技術力を高めつつ,規模の小さな企業がその内外でどのように組織力を強化していけばよいのかについて考察している。 本年度については,理論的研究として,引き続き技術と組織の両側面から国内,海外の文献をレビューした。技術力については,日本から海外に単に技術を移転するだけでなく,企業全体として技術力を一層向上させていくための可能性について検討を深めた。組織力については文献レビューをベースとして,「課業」「報酬システムとしての評価とキャリア」「職場でのコミュニケーション」という要素に焦点をあてた。 実証的研究としては,日本の中小製造業の海外生産拠点等について視察・インタビューを実施した。技術面については,海外に生産拠点を持ったことによる本国への影響や,企業全体としての技術の変化について調査し,複数国展開の可能性を明らかにした。組織面については,上記の3つの各要素をさらに細分化して分析した。進出から年数がたつほど3要因のそれぞれが向上し業績が安定あるいは向上していること,「課業」を見直し「報酬・キャリア」「コミュニケーション」も含めて日本とは異なる方法を探る必要があることを明らかにした。 本年度の研究成果については,海外生産と技術という視角から2回の国際学会にて報告をした。また海外生産と組織という視角から,国内学会にて研究報告をした他,論文を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論面については,当初の計画にしたがって,グローバル化と技術,グローバル化と組織という両側面から,国内と海外の文献レビューを行うことができた。また実証研究を進める上で新たに必要と判断した関連分野についても,追加でレビューを進めた。 実証面については,理論的研究で構築したフレームワークに基づいて,海外の現地生産拠点等を訪問し,詳細なヒアリング調査を実施した。今年度の成果としては,特に組織面についてより詳細な調査を遂行することができたことである。複数回の調査を実施したことで時系列的な変化も明らかにすることができた。 また調査先の海外現地法人をより深く理解するために,本研究に関して現地の研究者と議論をする機会も設けた。そこで本研究についてレビューを受けるとともに,文化的背景について詳細な解説をうけ,本研究を進める上で有益なコメントを得ることができた。これにより,さらに研究を進展させることができたと考えている。 研究成果の公表については,海外生産と技術という視角から2回の国際学会にて報告をした。また海外生産と組織という視角から,国内学会にて報告をし,論文も執筆した。 以上の理由から,研究については概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
27年度の研究により,本研究で新たにおさえておくべき関連分野や,不足していた視点を明らかにすることができた。そこで今年度は,理論的研究として,技術面については学会報告等で得たコメントを活かして,海外生産が企業全体の技術力向上にあたえる効果を改めて整理しなおしたい。組織面については,関連研究をまとめたレビュー論文を改めて執筆することを計画している。これらの作業を通じて,フレームワークを精緻化でき,また技術面と組織面の相乗効果にさらに踏み込めると考えている。 実証的研究としては,海外現地生産拠点等の調査を引き続き実施することで,フレームワークにフィードバックできるようにする。またサンプル数を増加させることにも留意したい。 研究成果については,次年度についても国内学会での複数回の報告や,論文の公表を計画している。
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