申請者は、1990年から1995年に設立された創薬バイオベンチャー123社を対象に調査を進めており、年間パテントファミリー数は倒産グループ、経営継続グループ、他のバイオベンチャーに買収された(M&A (Biotech))グループ、大手製薬企業に買収された(M&A (Big Pharma))グループの順に多いことを既に明らかにしている。 平成29年度は倒産グループ、M&A (Biotech)グループ、M&A (Big Pharma)グループについて、請求項の分類を完了させた。倒産グループでは医薬組成物、医薬製造方法、治療方法の請求項が多いのに対し、M&Aグループでは標的、スクリーニング方法、診断方法の請求項が多かった。M&Aグループの中でもM&A (Big Pharma)グループの方がM&A (Big Biotech)グループに比較して標的、診断方法の請求項が多かった。このことから、M&Aグループは医薬品開発のより上流から研究を行っていることが推察された。 共同出願割合は各グループ間で差はないものの、請求項の内容は共同出願相手により異なることが明らかとなった。倒産グループの共同出願相手は、約80%がアカデミアとなっており、治療方法の請求項が他のグループより多かった。一方、M&A (Biotech)グループはアカデミアと製剤に関する請求項が、M&A (Big Pharma)では標的、スクリーニング、診断に関する請求項が多かった。企業との共同出願に関しては、M&A (Biotech)グループは、製薬企業と医薬物質の発明を、ベンチャーとは標的、治療方法、診断方法、スクリーニング方法の請求項が多かった。M&A (Big Pharma)では、医薬物質の請求項は製薬企業のみならず、ベンチャーとの共同出願も多かった。このことから、各グループ間でアライアンス戦略の違いがあることが推察された。
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