イノベーションに関する既存研究は、国、企業を含むイノベーション・システムを所与のものとして、その経済的効果を検討するものか、あるいはイノベーション・システムの内部メカニズムを詳細に事例分析するもののいずれかに分類される。本研究は、この両者をイノベーション確率最大化という観点からバランスよく取り扱い、一般均衡フレームワークのなかで統合的に扱っている点に特徴がある。具体的には、イノベーション・システムの経済における役割、機能、経済的影響について理論的・実証的に評価するとともに、その内部メカニズムについて、準価格シグナルという新たな観点からモデル化し、事例研究を中心とした実証を行っている。
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