さまざまなエレクトロニクス機器において、技術開発や普及で先行しながら、市場の大規模化にともなって存在感を失う日本企業の例が観察されている。太陽電池製造企業もその一例である。本研究は、この産業におけるビジネス生態系の発達プロセスを調査することで、逆説的に見える現象の解明を試みた。調査の結果、次のような仮説的視座をえた。まず、日本で発達したのは、太陽光発電の導入に経済的な見返りが乏しいという苦難の時期を耐えうる「持続型」の生態系である。これに対して近年、国外で発達したのは投資対象として魅力的な太陽光発電の利益「収穫型」の生態系である。異質な2つの生態系の両方で成功するのは困難である。
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