設計初期段階でのシステムモデル活用が製品開発プロセスと組織にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために、平成26年度は、①本研究における分析対象となる企業グループに対するヒアリング調査を実施し、ヒアリング内容と提供を受けた資料の整理、②欧州におけるシステムモデルの製品開発への適用の先進事例の調査、および③システムモデル構築に向けての予備検討を実施した。ヒアリングを実施するに当たり、筆者の想定している理想的なモデル活用枠組みをベースとして各社の状況を整理した。現時点までの調査で得られた事実から帰納されたシステムモデルを活用した製品開発に関する以下のような仮説を得た。 システムモデルの導入に成功している企業は、必ずしも従来的なCAEの導入ステップを経ていないことが多い。すなわち、一般的なCAEを導入してからモデル活用の枠組みにたどり着くには何らかの障壁が存在している可能性がある。また、モデルベース開発の効果はシステムモデル構築能力に大きく依存している。 しかし、システムモデルは、企業のものづくりに関する極めて多くの知識が集約され、企業の製品開発力の核となることから、実際の企業のモデルを詳細に調査することは極めて困難である。そこで、上記の仮説を検証するために、筆者自身が仮想的なシステムモデルを構築し、どのような形で設計や製造の暗黙知が織り込まれていくかを、ヒアリングの成果を踏まえて筆者自身がトレースできるようなプログラムを開発した。
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