研究課題
本研究は設計初期段階でのシステムモデル活用が製品開発プロセスと組織にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることにより、モデルベース開発を企業価値向上につなげる前提となる組織能力と、効果的な技術導入プロセスを示すことで、我が国製造業のものづくり力の向上に資することを目的としたものである。平成28年度は先進的なモデルベース開発の導入によって製品開発プロセスと研究開発プロセスを有機的に連携させていく方法について検討した。その結果、システムモデルが構築できれば、製品の性能に影響を与える物理的尺度と、現在の技術水準を前提としたそれらに関するパラメータの可変域を特定できるようになり、当初からどのような幅で新製品を生み出しうるかのパラメータの境界集合を決定できるようになることを示した。さらに、境界集合を変更・拡張するためには研究開発を行う必要が生じるので、システムモデルの変化という形で研究開発を製品ロードマップの中に置きなおすことができ、このような形での定量的な目標設定が製品開発スピードや品質に大きく影響を与えることを明らかにした。また、最終的な研究結果の妥当性とNDA 契約に照らした研究内容の適切性を確認するために、協力企業対してフォローアップのヒアリングを実施した。以上のことにより、ナレッジマネジメントや製品開発プロセスと研究開発プロセスの連動などの問題は、従来とは異なるアプローチで抽象化することができ、システムモデルを中心とした具体的な製品開発プロセスマネジメントに向けての施策提案に極めて有効であることを示した。
3: やや遅れている
昨年度、山口大学に新設した大学院教育センターのセンター長を務めることになった。立ち上げ時期であったこともあり、センター長の業務が想定していたものよりも格段に多く、科学研究費助成事業による研究が当初の計画よりもやや遅れてしまった。そのため、1年間の期間延長を申請し、承認いただいたところである。
本年度の中心的な活動は、システムモデル活用の妥当性を評価した後に、全体内容に関して国内外で複数回研究発表を行い、その後国際ジャーナルに論文を投稿することである。
昨年度、山口大学に新設した大学院教育センターのセンター長を務めることになった。立ち上げ時期であったこともあり、センター長の業務が想定していたものよりも格段に多く、科学研究費助成事業による研究が当初の計画よりもやや遅れてしまった。そのため、次年度使用額が生じてしまった。
1年間の期間延長を申請し、承認いただいたので、本年度はシステムモデル活用の妥当性を評価した後に、全体内容に関して国内外で複数回研究発表を行い、その後国際ジャーナルに論文を投稿する予定である。そのための経費として次年度使用額を使用させていただく計画である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
International Journal of Medical, Health, Biomedical, Bioengineering and Pharmaceutical Engineering
巻: Vol:10, No. 03 ページ: 138-146