研究課題
本研究は設計初期段階でのシステムモデル活用が製品開発プロセスと組織に与える影響を明らかにすることにより、モデルベース開発を企業価値向上につなげるための前提となる組織能力および効果的なシステムモデル導入プロセスを示すことで、我が国製造業のものづくり力の向上に資することを目的としたものである。最終年度である平成29年度は、システムモデルを導入した企業が持続的に成長するために不可欠なナレッジマネジメントのあり方について分析した。これらを分析するにあたって、筆者の機械工学の専門知識に基づき基本的なシステムモデルを実際に作成し、企業における活動をトレースした。その結果、システムモデルは複合領域における様々な現象をオブジェクト指向のモデリング言語で表現することができ、これらは最終的には一次元の物理式群と経験式群を統合した方程式群に帰着されるので、従来のCAEと異なり製品の性能・機能・品質に関する情報を機構・構造・流体・熱・制御等の複数分野の連成問題として高速に解くことができる大きなメリットを有していることが確認できた。また、システムモデルを活用した製品開発は、製品仕様を書面の代わりにシステムモデルで表現し、制御、メカ、エレキなどの複合領域を同時にシミュレーションで検証しながら開発を進めていくことができるため、現場が有するナレッジの組織的な共有・活用が容易になり、製品開発スピードや品質が飛躍的に向上することを示した。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)
International Journal of Mechanical and Industrial Engineering
巻: Vol.11, No.10 ページ: 1752-1756
Malaysian Construction Research Journal
巻: Vol.1, No.1 ページ: 194-206