研究助成の最終年度において、特に研究成果の幅広い発信に力を注いだ。まず、関連領域の研究成果として、Duke大学Arie Lewin教授との共著論文は、組織研究のトップジャーナルであるOrganization Studiesに採択された。また、資源制約及び制度的環境の制約を抱えている企業の能力形成プロセスに注目し、特に戦略論の中で議論されてきた「創発戦略」という概念は、アントレプレーナ型企業への適応可能性を問い直すための試論として、作成した単著論文は国際ジャーナルに採択された。さらに、アナハイムで開催されたアメリカ経営学会(Academy of Management)、及びベルリンで開催された国際戦略論研究学会(Strategic Management Society)という二つのメジャーな国際学会において研究報告を行った。日本語の研究成果として、環境イノベーションと企業能力との関連性に関するレビュー論文(執筆分担)は近々刊行される予定である。最後、この研究プロジェクトの最終成果として作成した単著論文はBehaviroal Strategyの分析視点からダイナミック・ケイパビリティの形成プロセスをアプローチし、現在国際ジャーナルの査読プロセスに入っている。今後の研究計画として、オーソドックスな競争戦略論とBehaviroal Strategyとのリンケージを図る方向で継続していく予定である。
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