本研究課題の目的は、中小企業の国際化の実態を把握することと、中小企業の国際化がどのように地域経済および地域産業に影響を及ぼしているかを検討することである。 そのため、中小企業論、国際経営論、多国籍企業論等の関連する先行研究を渉猟し、分析枠組みの検討を行った。同時に、国内外の中小製造企業を中心に、国内外の中堅および大手企業、ならびに中小企業のサポートを行っている国内外の外部組織等への聞き取り調査を繰り返し行った。 その結果、中小企業は一般的に経営資源を十分には保有していないとされるが、そうした経営資源の不足を補完するために、外部組織が提供する中小企業へのサポートを活用したり、海外における信頼できるパートナーとの協調を図るなど、外部資源を柔軟に活用することによって国際化を進め、企業としての成長を追求していることが判明した。また、海外展開した中小企業の海外子会社の中にはすでにある程度の事業経験を経て、相応の知識や技術等を蓄積しているものも存在し、そうした海外子会社の中には中小企業の国際経営、ないしは中小企業の本社の活動に対しても影響を与えるようなものもみられた。
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