研究実績の概要 |
2016年度は,学会発表1回(招待)「ソーシャル・キャピタルの規定要因としての人材マネジメント-3時点データを用いた因果の検討-」(第27回,日経企業行動カンファレンス)と論文1本(西村 孝史・西岡 由美(2016)「ミドルマネジャーの戦略的役割 階層性と時間差効果」『一橋ビジネスレビュー』 Vol.64, No.1 pp.62-73.)の刊行,ならびに研究内容に関連する記事を3本執筆した。また,インターネット調査を2本実施した。 「ソーシャル・キャピタルの規定要因としての人材マネジメント-3時点データを用いた因果の検討-」では,3時点で収集したデータを用いてソーシャル・キャピタルと職場業績の関係性を明らかにすると共に,成果主義とソーシャル・キャピタルの関係性を検討した。その結果,第1に,ソーシャル・キャピタルが職場業績に寄与するという構造であること,第2に,成果主義がソーシャル・キャピタル形成に正の影響を与えること,の2点が明らかになった。 「ミドルマネジャーの戦略的役割 階層性と時間差効果」では,企業の人事部からの回答に加えて調査年から7年後までの財務データを結合し,組織パフォーマンス(1人当たり経常利益および新卒大卒3年以内の離職率)に与える影響を検討した。分析の結果,ミドルの役割のうち長期的な財務パフォーマンスには,情報伝達の役割が直接的な影響を有するのに対して,部下育成が差別化戦略を採用している時に短期的な財務パフォーマンスを高めることが明らかになった。また,部下育成の役割が,大卒新卒採用者の3年以内の離職率の低減に影響を与えることが明らかになった。
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