研究課題/領域番号 |
26380516
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
下野 由貴 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20379473)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経営学 / 経営戦略 / 国際経営 / サプライチェーン・マネジメント |
研究実績の概要 |
本研究は、サプライチェーンのグローバル化が企業間の協働のあり方に与える影響について考察することが目的である。平成26年度は、日本の自動車部品メーカーのグローバル化を中心に調査を行った。具体的には、トヨタ自動車系列の主要な自動車部品メーカー5社のグローバル化について、インタビューを中心に調査を実施した。従来のトヨタ系自動車部品メーカーのグローバル化は、トヨタ自動車のグローバル化に追随する形で展開されてきた。しかし近年は、欧米、特にドイツの自動車メーカーとの取引拡大に注力している。ドイツ自動車メーカーは、中国や南米で積極的に事業を展開しているが、その各地で取引を拡大するためには、やはり本国の欧州でいかに取引を拡大するかに懸かっている。 今年度は、自動車部品メーカー5社のドイツ、フランス、スペインなどの事業拠点を訪問し、担当者へのインタビューを実施した。特に、ドイツの調査に関しては、協定校のルートヴィクスハーフェン経済大学の協力を得ることができた。また、5社の日本本社を訪問し、全般的なグローバル展開について話を伺うことができた。 欧州では、日本のようないわゆる系列関係は見られないが、全くの自由な市場取引が行われているわけではない。特定の自動車メーカーと自動車部品メーカーとの長期的な取引関係があり、新規に取引を拡大することは容易ではない。そのような状況で日本の自動車部品メーカーが採っている手段は、クロスボーダーM&A、国境を越えた買収・合併である。クロスボーダーM&Aによって、既存の取引関係をそのまま継承することができるが、自らの戦略や文化を有している現地企業を融合させることは難しい。今回の調査では、比較的順調に融合している企業や、まさに融合している過程にある企業の実態を具体的に理解することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画では、欧州における自動車産業の調査と台湾におけるエレクトロニクス産業の調査を予定していた。しかし、台湾に関しては、研究協力を依頼していた国立嘉義大学の楊英賢教授とのコンタクトは取ることができ、研究協力の了承も受けていたが、調査対象としていた企業の都合により、インタビュー調査を実施することができなかった。 しかし、その代わりに、欧州の調査については、予定していた企業以外にも、インタビュー調査を実施することができた。したがって、全体的には、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、初年度の調査や先行研究に基づいて、理論的枠組みの構築をめざす。さらに、引き続き、インタビュー調査を中心として、日本の自動車メーカー、自動車部品メーカーのグローバル化に関するデータ収集を実施する予定である。自動車産業については、欧州と日本における調査を中心に実施するが、サプライチェーンのグローバル化は、地域ごとに分断しているわけではないので、場合によってはアメリカなどの他地域との連携についても調査する可能性がある。エレクトロニクス産業の調査については、今年度は台湾における実態調査を予定どおりに実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた台湾の調査を実施することができなかったことが理由と考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、今年度実施できなかった台湾の調査を実施する予定である。
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