研究課題/領域番号 |
26380517
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
河合 篤男 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10275117)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 変革指向性 / インセンティブ / マネジメント能力 / 育成経路 / リーダー / 苦境 |
研究実績の概要 |
本研究は、過去の科研費研究において実施してきた、(日本の大企業における)マネジメント能力の形成過程に係る定量的研究を基盤としている。過去の科研費研究では、マネジメント能力の種類と形成レベルが、どのようなキャリアと結びつくのかを一定程度明らかにできた。しかし、実際に高いレベルでマネジメント能力を形成した人材が、変革指向性を持つのか否かまでは明らかにできていない。このような経緯から、大企業において昇進を遂げながらも変革指向性を持続している人材(以下、「変革型人材」と呼ぶ)について探索することが、本研究の課題となっている。まず、変革型人材の概念定義に迫る上で、初年度の研究では定性的なアプローチを用いた。協力関係を築いている豊田通商(株)に対するヒアリング調査を中心に、変革型人材が生まれる過程について模索した。窓口となって下さった役員の方に、同社において画期的な事業やプロジェクトを立ち上げ、推進した人材を複数挙げていただき、ヒアリング調査を実施した。ヒアリング調査では、当該事業やプロジェクトを立ち上げたきっかけ、推進プロセス、その結果について聞き取った。同時に、その方々の企業におけるキャリア・パス、幼少期からの特筆すべき経験、企業以外のネットワーク、人生の目標や価値観などを聞き取った。その結果をまとめたことで、高度なマネジメント能力を身につけ、一定以上の職位に昇進しながらも、「変革へのインセンティブ(または熱意)を持続するエンジン」を描き出す必要性が浮き彫りとなった。エンジンを語るには、企業の中に留まらない、人生における困難や苦境に言及する必要がありそうである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変革型人材を語る上で、「方向性」、「周囲の動員」、ならびに「変革へのインセンティブ」の3要素が必要であることが浮き彫りとなった。また、これら3つの構成要素とキャリア・パスとの関係が仮説的にではあるが考察できているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、他の協力企業におけるヒアリング調査を継続し、変革型人材の構成要素として仮説的に浮かび上がっている3要素とそれぞれを形成するキャリア・パスについてのモデルを検討する。その上で、質問票を開発して定量的なアプローチに移行する予定である。
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