研究課題/領域番号 |
26380519
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
朴 唯新 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (20435457)
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研究分担者 |
陳 韻如 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00389404)
中岡 伊織 宇部工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (50469186)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 三星電子 / パナソニック社 / 特許分析 / 社会ネットワーク分析 / テキストマイニング / コア硬直性(Core Rigidities) |
研究実績の概要 |
1990 年代中盤から日本のICT 企業は競争力を回復させるため、直近20 年間様々な改革を実施してきたが、それらによって持続的な競争優位を達成するには至らなかった。その理由として様々な仮説が存在するが、我々は日本のICT 企業の技術開発戦略の方向性が世界市場におけるニーズから乖離していたのではないかという点に注目する。この仮説を検証するために、最近の特許分析ツールを用いて、日米韓のICT 企業が実施してきたグローバルな技術開発戦略の変遷を可視化し、優れた特許を算出しながらも、持続的な競争優位の構築に苦しむ日本企業に新たな対案を提示する。本研究の目的は、日米韓のICT 企業であるソニー、シャープ、パナソニック、Samsung、LG、Apple の1990 年代以後の主要なデジタル家電の特許戦略の進化経路について社会ネットワーク分析とテキストマイニングで動態的・複眼的に比較検討することで、日本のICT 企業に有効な新技術開発戦略を構築することである。 平成26年度の主な業績は、次の通りである。第一に、理論レビュー・分析枠組みの構築を試み、日本のICT 企業に有効な技術開発戦略についてモデル化に挑戦した。具体的には、D. Leonard-Bartonは,企業は研究開発プロジェクトにおいて既存のコア能力によるコア硬直性(Core Rigidities)のパラドックス問題に直面すると指摘している。第二に、 特許分析に関してはPatent Integration 社の特許分析ツールを用いて各社(主にソニー、シャープ、パナソニック)における特許データを構築し、社会ネットワーク分析とテキストマイニングにもとづく分析を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画では、理論レビュー・分析枠組みの構築を試み、日本のICT 企業に有効な技術開発戦略についてモデル化に挑戦していた。具体的には、D. Leonard-Bartonは,企業は研究開発プロジェクトにおいて既存のコア能力によるコア硬直性(Core Rigidities)のパラドックス問題に直面すると指摘している。第二に、日韓の情報家電企業の各社の特許分析に関してはPatent Integration 社の特許分析ツールを用いて各社(主にソニー、シャープ、パナソニック)における特許データを構築し、社会ネットワーク分析とテキストマイニングにもとづく分析を試みた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、引き続き理論レビュー・分析枠組みの構築、Samsung/ LG/ Apple の特許データを構築する。研究成果の学会発表を積極的に行っていく。事例研究に関しては、陳の紹介で日本ICT 企業の調査を実施しつつ、韓国のJung とRhym の協力でSamsung, LG の聞き取り調査を行う予定である。特許データに関しては前年度と同じデータベースを用いて各社における米国の特許ネットワークの現状について社会ネットワーク分析とテキストマイニングを試み、技術開発戦略の動態変化を捉える。さらに、Thomson Scientific 社のAureka を利用し、追加的な特許分析を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、日米韓の情報家電企業の特許データをタウンロードし、テキストマイニング用のデータベースを構築する予定であったが、必要な特許データの特定に時間が掛かり、進捗が少し予定より遅れてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、次年度以降にも引き続き、特許データをタウンロードし、未使用額はデータベースの構築費用に充てることとしたい。
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