研究課題/領域番号 |
26380521
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
眞保 智子 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (10341794)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 障害者雇用 / 最低賃金 / 合理的配慮 / 労労代替 |
研究実績の概要 |
本研究は、最低賃金の引き上げにより、最低賃金近辺もしくは、適用除外により最低賃金を下回る賃金で働いている知的障害のある労働者に対して、実際に企業がどのような行動をとるのか、その実態を明らかにすることを目的としている。研究の趣旨から調査対象は障害者を雇用することを目的に設立された特例子会社と社団法人全国重度障害者雇用事業所協会に所属している企業を中心に、今後実施するアンケート調査での測定指標の作成を目的に、①「労労」代替の有無の量的把握、②「労労」代替がある企業の特性の把握③知的障害者の最低賃金適用除外とする労働者の動向、④精神障害者への代替コストとベネフィットの把握のために、半構造化面接法によるインタビュー調査を15の企業に対して実施した。 インタビュー調査から、①②については、アンケート調査に向けての質問紙作成のために必要な知見が一定程度得られてきた。また、理事として関わるNPO法人障がい者ダイバーシティ研究会の会員企業(主に特例子会社)30社に対するアンケート調査においても障害のある労働者の障害種別、雇用形態ごとの把握の方法を見出すことができた。一方で、③については、比較的経営状況が安定し、障害者雇用に理解のある経営者がいる中小企業を対象として行ったことから今後は最低賃金適用除外としている企業をターゲットとして行う必要がある。④については精神障害者保健福祉手帳を所持している精神障害者であってもその中に制度上発達障害者が含まれており、それぞれを分けて考えていく必要があることが判明してきた。③④については、対象企業を広げてさらにインタビュー調査を実施する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の調査で重要な位置をしめる障害者を雇用することを目的に設立された特例子会社と社団法人全国重度障害者雇用事業所協会に所属している企業へのアンケート調査実施に向けての測定指標を作成に資する結果をインタビュー調査で一定程度得られたからである。①「労労」代替の有無の量的把握、②「労労」代替がある企業の特性の把握、については、有効な測定指標から質問紙作成に向けて検討を始められるデータが得られてきた。 一方で、③知的障害者の最低賃金適用除外とする労働者の動向、④精神障害者への代替コストとベネフィットの把握については、対象企業を広げてさらにインタビュー調査を実施する必要があることが判明している。平成27年度前半は、知的障害者の最低賃金適用除外を実施している中小企業への調査と従来より精神障害者保健福祉手帳が想定してきた統合失調症、気分障害、てんかんと発達障害を分けてそれぞれの代替状況を把握するために調査を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に引き続き、インタビュー調査を実施する。インタビュー調査により得られた結果を反映させるとともに、アンケート調査の集計方法について、数学、統計を専門領域としている研究協力者に専門的アドバイスを受け質問票を作成する。特に知的障害者の最低賃金適用除外とする労働者の動向と精神障害者への代替コストとベネフィットの把握について、調査対象企業を最低賃金適用除外を実施している中小企業に調査対象を広げてインタビュー調査を実施し、その結果を反映する。 アンケート調査実施のための配布・回収方法を首都圏など特例子会社が集中している地域では、すでに企業が連携して情報交換、勉強会を実施する組織があり、そこで議論し、効果的な方法で実施できるよう準備を行う。理事として関わるNPO法人障がい者ダイバーシティ研究会の会員企業(主に特例子会社)30社にもご協力いただく。
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次年度使用額が生じた理由 |
パソコンを更新した後に、既存の統計ソフトの更新と新規購入を予定していたが、適切なソフトの選定と既存ソフトの更新と新パソコンとの互換などに予想外に時間がかかった。適切な環境での運用を考え次年度に繰り延べた。
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次年度使用額の使用計画 |
既存の統計ソフトの更新と新規購入を行う。
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