本研究は、最低賃金の引き上げにより、最低賃金前後で働いている知的障害のある労働者が精神障害のある労働者に代替されるのかを明らかにすることを目的としている。インタビュー調査では、「労労代替」が生じている企業では、障害者が行っている仕事内容が異なる可能性がある、等が明らかになった。 アンケート調査は、調査対象企業448社のうち、170社より回答を得た。なお宛名不明により4社は返送された(回答率38.3%)。人件費増加による収益確保の難しさが指摘されその解決策と目される精神障害者の雇用には、医療との連携や専門知識や経験のある支援者の配置などの課題が指摘され、「労労代替」の拡大は確認できなかった。
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