研究課題/領域番号 |
26380523
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
澤田 直宏 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (00457847)
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研究分担者 |
浅川 和宏 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 教授 (50276424)
中村 洋 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 教授 (60286656)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 知的財産権 / オープン・イノベーション / 情報漏洩 |
研究実績の概要 |
本研究では産業別の知的財産権の堅牢性が個別企業のオープン・イノベーション政策にどのような影響を及ぼすのかについて調査を行う.知識の無断活用を防止するための特許に代表される知的財産制度の堅牢性は特許そのものの内容だけでなく産業要因によっても左右される.このためオープン・イノベーション政策は外部との接触により自社が外部の知識を吸収するだけでなく,場合によっては外部への知識漏洩の原因にもなりうる.本研究では産業別の知的財産権の堅牢性とそれに対応したオープン・イノベーション政策の具体的実施状況について検証を行う. 昨年度,セミナーにて手元にあるデータを基に行った統計分析の結果を発表した.発表内容は以下のとおりである.知的財産権の堅牢性を堅牢な産業(化学・医薬品・医療用機器)と脆弱な産業(印刷・電子デバイス・通信デバイス・インターネット関連事業)に分類した上でオープン・イノベーションの実施状況と産業の関係を分析した.結論的には知的財産権の堅牢な産業ほどオープン・イノベーションを実施していることがわかった.しかしながら,本研究に対するコメントとして本結論はある意味で自明な部分も含まれるため,オープン・イノベーションの内容に違いがあるのかについて検討した方がより好ましいとの指摘があった. このコメントを元にして,オープン・イノベーションの幅(どの程度異なった種類のソースから情報を収集しているのか)と知的財産権の堅牢性に関する分析も行った.結論的には知的財産権が脆弱な産業ほどオープン・イノベーションの幅は逆に拡大しているという直感とは異なる結果を得ることができた.同結果を基に論文を改定したものをStrategic Management Societyの年次発表大会に投稿した結果,今年度の同大会にて発表を行う機会を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は上述の手元データによる分析だけでなくプレ調査を行い,今年度実施する本格調査につなげる予定であった.しかしながらプレ調査にかかる調査票の作成が遅延したためスケジュール全体がズレる結果となった.
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今後の研究の推進方策 |
上述のとおり研究は若干遅延している.しかしながら,手元データによる分析を行い大まかな傾向値はつかめたため,より的確な調査票を作成することが可能となった.また,現段階では大幅な遅延ではないため今年度中に本調査まで実施可能と考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度においてプレ調査の調査票作成が遅れたため,資金の実行時期においてズレが生じた.また,学会発表の旅費についても学会へ投稿を行ったものの残念ながら採択されなかったため使用しなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
現時点において調査票の作成は終了しており,本格調査の時間も十分に確保可能であることから大きな問題は生じないものと考える.なお,スケジュールどおりにアンケートを実施したとしてもアンケート調査の回収率が低い場合は今年度後半に再度調査を実施する.その場合,次年度予算を前倒しで使用することとする.
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